小さな置物を1点、机の上で撮っていたときのことです。カメラの背面モニターで確認しては撮り、カードを抜いてパソコンに挿し、取り込んで拡大して、ピントが1ミリ手前に来ていることに気づいて、また机に戻る。この往復を4回やった時点で、撮影そのものより往復のほうが長いことに気づきました。
背面モニターは小さすぎて、ピントの山も、髪の毛1本の乱れも、布のシワも見えません。かといって1枚撮るたびにカードを抜き差ししていたら、集中は途切れるし、カードスロットの寿命も気になります。この問題をまとめて片づける機能が、Lightroom Classicに昔から入っている「テザー撮影」です。
ただ、テザー撮影という言葉には、なんとなくスタジオとプロの匂いがあります。大きな三脚、白いホリゾント、アシスタント。自分のような、机の上で物を撮る程度の人間が使うものなのか。そもそも自分のカメラで使えるのか。使えたとして、何がどれだけ楽になるのか。この記事では、その3つに順番に答えていきます。
あわせて、Adobe公式ヘルプに書かれている対応メーカー、撮影を始めるまでの具体的な手順、つながらないときの切り分け、メーカーごとに必要なカメラ側の設定までまとめました。読み終えたときに「自分には要る」「自分には要らない」のどちらかがはっきりすることを目指しています。
結論から言うと、テザー撮影とは、カメラとパソコンをUSBケーブルでつなぎ、シャッターを切った写真をカードを経由せずにそのままソフトへ取り込む撮影方法のことです。Adobe製品の中でこれができるのはLightroom Classicで、Adobe公式ヘルプによると対応しているのはCanon、Fujifilm、Nikon、Sonyの各社のカメラのうち、公式が掲載している対応機種リストに載っているものです。そして必要なのは、同じ場所で何枚も撮り、その場で細部を確認したい人です。歩きながら撮るスナップが中心の人には、正直なところ要りません。
テザー撮影とは何か。カードを抜き差しする撮影と何が違うのか
テザー撮影とは、カメラをパソコンに接続した状態で撮影し、撮った写真をカメラのメモリーカード経由ではなくソフトへ直接取り込む撮影方法のことです。テザー(tether)は「つなぎ縄」という意味の英語で、カメラをパソコンにつないだ状態を指しています。Adobe公式ヘルプでは、対応するカメラをパソコンに接続すると、写真をLightroom Classicのカタログへ直接読み込み、カメラ側の撮影ソフトを介さずに済むと説明されています。
実際に使ってみると、機能の説明としては地味なのに、撮影中の体感はかなり変わります。変わるのは画質ではありません。変わるのは「確認までの時間」です。この違いを最初に整理しておくと、自分に必要かどうかの判断がしやすくなります。
カード経由の撮影は、確認が「あとまわし」になる
カードに記録する通常の撮影では、撮った写真を大きな画面で見られるのは、撮影がひと段落したあとです。カメラの背面モニターでも一応は確認できますが、3インチ前後の画面で見えるのは構図と明るさくらいで、ピントが本当に狙った場所に来ているか、被写体の表面にホコリが乗っていないか、といった細部までは分かりません。
その結果どうなるかというと、パソコンに取り込んでから「これは使えない」と気づき、もう一度セッティングをやり直すことになります。物撮りの場合、ライトの位置も背景も一度ばらしてしまっていることが多く、同じ状態を再現するだけでかなりの時間を使います。人物を撮っていたなら、そもそも同じ表情はもう戻ってきません。
私が実際に困ったのもここでした。撮影中は「たぶん大丈夫」と思っていて、取り込んだあとに全カットで同じ失敗をしていることに気づく。1枚ずつ確認していれば2枚目で気づけたはずのミスを、40枚分まとめて発見するわけです。テザー撮影が解決するのは、まさにこの「気づくのが遅い」という問題です。
テザー撮影で速くなること、速くならないこと
誤解されやすいのですが、テザー撮影をしても写真そのものが良くなるわけではありません。センサーもレンズも同じですから、写る画は変わりません。変わるのは工程です。何が変わって何が変わらないのかを、はっきり分けておきます。
- 速くなること1:撮った直後に大きな画面で細部を確認できるので、失敗に気づくのが早い
- 速くなること2:撮影が終わった時点で、写真がすでに取り込み済みの状態になっている
- 速くなること3:フォルダー分け、ファイル名、キーワードが撮影時の設定どおりに付く
- 速くなること4:現像設定を撮影時にあてておけば、確認画面が仕上がりに近い状態になる
- 速くならないこと1:画質、解像感、ノイズの量。これはカメラとレンズの担当です
- 速くならないこと2:構図やライティングの判断。むしろ確認が丁寧になる分、1枚あたりの時間は増えることもあります
4つ目の「現像設定を撮影時にあてておく」は、実際に使ってみて一番効いた部分です。これについては後半で1章を使って書きます。逆に、6つ目に書いたとおり、テザー撮影は必ずしも撮影時間を短くする道具ではありません。1枚ずつ丁寧に見るようになるので、枚数を稼ぐ撮影とは相性が悪い場面もあります。
「その場で他人に見せられる」という副次的な効果
もうひとつ、使うまで想像していなかった効果があります。パソコンの画面に写真が出るということは、自分以外の人にも同時に見せられるということです。商品を持ち込んだ依頼主、一緒に作っている相手、家族。背面モニターを覗き込んでもらうのと、画面を並んで見るのとでは、伝わる情報量がまるで違います。
実際、身内に頼まれて作品を撮ったとき、その場で「もう少し右に倒したほうがいい」という指摘をもらえたことがありました。あとから写真を送って修正依頼をもらっていたら、もう一度セッティングし直しです。撮影が1回で終わるかどうかは、確認のタイミングで決まります。
できるのはLightroom Classicだけ。まず対応の確認から
手順に進む前に、確認しておくべきことが2つあります。使っているソフトが対応しているか、そして使っているカメラが対応しているかです。この2つのどちらかが外れていると、あとの手順はすべて意味がなくなります。
Lightroom と Lightroom Classic を取り違えない
Adobe Lightroom Classicとは、写真をパソコン内のフォルダーで管理することを前提にした、デスクトップ向けの写真管理・現像ソフトのことです。一方のAdobe Lightroomは、写真をクラウドに預けてパソコン、スマートフォン、web版のどこからでも同じ状態で扱えることを重視した製品です。名前が似ていますが、設計思想が違います。
テザー撮影について、Adobe公式ヘルプに手順や対応カメラの情報が掲載されているのはLightroom Classicです。テザー撮影に関する公式ヘルプのページは、対応カメラのリスト、接続できないときの対処、メーカー別の設定まで、いずれもLightroom Classic向けとして用意されています。カメラをつないで撮る作業は、Lightroom Classic側の担当だと考えてください。
ここで大事なのは、この2つは「どちらかを選ぶもの」ではないという点です。Adobe公式サイトの写真関連プランのページ(2026年9月1日に確認)では、Lightroom(1TB)のプランにLightroomのデスクトップ版・モバイル版・web版に加えてLightroom Classicが含まれると記載されています。つまり、ふだんクラウド版のLightroomを使っている人でも、テザー撮影をしたい日はLightroom Classicを起動すればよい、という関係です。プラン内容は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
対応メーカーは4社。機種リストは公式ページで確認する
Adobe公式ヘルプ「Lightroom Classic にテザーできるカメラのリスト」によると、テザー撮影に対応しているのは、Canon、Fujifilm、Nikon、Sonyの各社のカメラです。ただし「このメーカーなら全機種いける」という話ではなく、公式ページに掲載されている機種リストに載っていることが条件になります。
同じ公式ページでは、機種を探すときの方法として、Windowsなら Ctrl+F、macOSなら Command+F でページ内検索を使い、カメラ名で探すか、メーカーで絞り込む方法が案内されています。リストに載っていない機種については、Lightroom Classicでのテザー撮影に対応しているかどうかをカメラメーカーに問い合わせるよう書かれています。
もうひとつ見落としがちなのが、対応の条件に「使っているLightroom Classicのバージョン」と「使っているOS」も含まれるという点です。公式のトラブルシューティングページでも、自分のカメラが、使用中のLightroom Classicのバージョンと、実行しているOSの両方でサポートされているかを確認するよう案内されています。古いバージョンのまま新しいカメラをつないで動かない、という組み合わせは十分にありえます。
ケーブルは「充電用」ではなくデータ通信できるものを
意外に多いのが、ケーブルが原因というパターンです。Adobe公式ヘルプでは、テザー撮影にはUSB 2.0またはUSB 3.0 SuperSpeedのケーブルを使うことが推奨されています。また、長いUSBケーブルやUSB延長ケーブルを使っている場合は、短いケーブルに替える、延長をやめる、電源付きのUSBハブを使う、といった対処が案内されています。
手元にあるケーブルの中には、充電にしか対応していないものが混ざっていることがあります。見た目で区別がつかないので、私はテザー撮影用のケーブルを1本決めて、他と混ざらないように別で保管するようにしました。撮影の直前に「つながらない、ケーブルかもしれない」と悩む時間ほど無駄なものはありません。
撮影を始めるまでの手順。ダイアログの項目が実は本体
準備ができたら、実際につないで撮るところまで進みます。操作自体は驚くほど単純で、メニューから1回選ぶだけです。むしろ重要なのは、そのときに出てくる設定ダイアログの中身のほうです。ここを適当に埋めると、撮影後の整理で結局時間を使うことになります。
メニューは1か所。ファイルメニューからテザー撮影を開始する
Adobe公式ヘルプの手順では、カメラをパソコンに接続して電源を入れたうえで、Lightroom Classicのファイルメニューからテザー撮影を選び、テザー撮影を開始する、という流れが案内されています。順番としては、カメラをつないで電源を入れてから、Lightroom Classic側で開始するほうが素直です。
私の場合、最初につながらなかった原因は単純で、カメラの電源を入れる前にソフト側で開始していたことでした。手順そのものは短いので、うまくいかないときはこの順番を守ってやり直すだけで解決することがあります。
テザー撮影設定ダイアログで決める5つのこと
テザー撮影を開始すると、取り込み方法を指定するテザー撮影設定のダイアログが表示されます。公式ヘルプに記載されている項目をもとに、決めるべき内容を整理すると次のようになります。
- セッション名:撮った写真を保存するフォルダーの名前になります。案件名や被写体名を入れておくと、あとで探すときに効きます
- 撮影ごとに写真を分割:これを選ぶと、セッションのフォルダーの中にサブフォルダーが作られます。サブフォルダーの名前はOKを押したあとに指定します
- ファイル名の付け方:撮影時点で命名規則を適用できるので、あとから一括リネームする作業が減ります
- 保存先:写真を書き込む場所を指定します。空き容量に余裕のあるドライブを選んでおくと安全です
- メタデータとキーワード:撮影者情報や著作権情報のプリセット、共通のキーワードを撮影時に付けられます
このうち、実際に使って一番ありがたかったのが2つ目の「撮影ごとに写真を分割」です。同じ商品をライティングを変えて3パターン撮るようなとき、パターンごとに新しい撮影として区切っておけば、フォルダーが自動で分かれます。撮影後に「これはどのパターンだったか」と写真を見比べる作業が消えました。
逆に、ここを空欄のまま進めると、すべての写真が1つのフォルダーに時系列で並ぶだけになります。それでも撮影自体はできますが、テザー撮影の利点の半分は失われます。このダイアログは、撮影前に整理のルールを決めておくための場所だと考えると腑に落ちます。
テザーバーの使い方と、覚えるべきショートカット2つ
撮影が始まると、画面上にフローティングのテザーバーが表示されます。公式ヘルプによると、このバーの大きな丸いシャッターボタンを選ぶか、カメラ本体のシャッターボタンを押すことで撮影ができます。パソコン側から切れるということは、カメラに触れずに撮れるということでもあり、三脚のブレを避けたい場面では有効です。
さらに、テザーバーの右下にある設定ボタンからは、接続しているカメラのシャッタースピード、絞り、ISO感度、ホワイトバランスを操作できると案内されています。机の下に潜り込んでカメラのダイヤルを回す代わりに、手元のキーボードの前で数値を変えられるわけです。
ショートカットは、公式ヘルプに記載されている次の2つだけ覚えておけば足ります。
- Windowsは Ctrl+T、macOSは Command+T:テザーバーの表示と非表示を切り替える
- Windowsは Ctrl+Shift+T、macOSは Command+Shift+T:撮影ごとに写真を分割しているとき、新しい撮影を作る
公式ヘルプでは、新しい撮影を作るときは、現在の撮影名をクリックして新しい名前を入力する方法も案内されています。私はライティングを変えるたびにこのショートカットを押す癖をつけました。撮影中に押す動作が1つ増えるだけで、撮影後の整理がまるごと不要になります。
一番効いたのは、撮影時に現像設定をあてておくこと
ここまでは接続と整理の話でした。ここからは、テザー撮影の中で私が一番価値を感じた部分を書きます。撮った写真がパソコンに表示されるとき、その表示に現像設定をあてた状態にできる、という機能です。
プリセットを取り込み時に適用できる
プリセットとは、露光量やコントラスト、色などの現像設定をひとまとめに保存し、他の写真へワンクリックで適用できるようにしたもののことです。Adobe公式ヘルプによると、プリセットは写真の読み込み時に適用できる現像設定の一覧にも表示され、テザー撮影時にも現像設定のメニューから適用するプリセットを選べます。
これが効くのは、RAWで撮っている場合です。RAWのまま表示すると、カメラの背面モニターで見ていた鮮やかな絵と比べて、平坦で色の薄い写真が並びます。そこで気持ちが折れて、露出やライティングの判断を誤ることがあります。仕上げの方向性に近いプリセットをあてておけば、確認画面が完成形に近づくので、判断がぶれません。
私は物撮り用に、コントラストを少し立てて、明瞭度をわずかに上げただけの軽いプリセットを1つ作って使っています。凝ったものである必要はまったくなく、「最終的にこのくらいの明るさとコントラストにする」という着地点が見えれば十分です。
ホワイトバランスを最初に合わせておくと、あとが全部楽になる
テザーバーの設定からホワイトバランスを操作できることは先に書きました。物撮りのように光源が固定されている撮影では、最初の1枚でホワイトバランスを決めてしまうのが結果的に一番早い、というのが実際にやってみての実感です。
撮影後にまとめて色を合わせるとなると、1枚を基準にして残りへ同期していく作業が発生します。撮影中に決めておけば、その作業自体がなくなります。しかも大きな画面で見ながら決められるので、背面モニターで判断するより精度が上がります。テザー撮影の効果は撮影中だけでなく、その日の夜の作業時間にも表れます。
つながらないときの切り分け。公式の対処法を上から試す
テザー撮影で最も多いつまずきは、カメラを認識しないことです。Adobe公式のトラブルシューティングページには対処法が列挙されているので、思いつきで試すのではなく、上から順に潰していくのが結局は近道です。
まずケーブルと接続、そして順番をやり直す
公式ヘルプでは、長いUSBケーブルやUSB延長を使っている場合に、短いケーブルへ替える、延長を外す、電源付きのUSBハブを使う、という対処が案内されています。そのうえで、Lightroom Classicを開き、カメラを接続し直し、カメラの電源を入れてテザー撮影を試す、という基本の再接続手順が示されています。
次に確認するのが対応状況です。使っているカメラが、Lightroom Classicのバージョンと、動かしているOSの両方でサポートされているかを確かめます。ここが外れている場合は、何度つなぎ直しても解決しません。
カメラメーカーのソフトが裏で動いていないか
見落としやすいのがこれです。公式ヘルプには、カメラメーカーの撮影用ソフトや編集用ソフトが開いていないことを確認するよう書かれています。それらのソフトがカメラを制御しようとしていると、Lightroom Classic側から使えません。ソフトを閉じてから、あらためてテザー撮影を試します。
Windowsを使っている場合は、自動再生の設定も案内されています。コントロールパネルを開いて自動再生を選び、カメラストレージの項目にあるメモリーカードのメニューで何もしないを選んでから保存して閉じる、という手順です。カメラをつないだ瞬間にWindows側が反応してしまうのを止めるための設定です。
私自身、以前つながらなかったときの原因は、前日に使ったメーカー純正の転送ソフトが常駐したままだったことでした。ケーブルを3本試して、ポートを変えて、それでも駄目で、最後にタスクトレイを見て気づきました。順番に切り分けていれば5分で終わった話です。
それでも駄目なら、環境設定のリセットと機種固有の情報を探す
公式ヘルプでは、ここまでで解決しない場合の手順として、Lightroom Classicを閉じて環境設定ファイルを削除し、再起動してからカメラを接続し、電源を入れてテザー撮影を試す方法が案内されています。さらに、Adobe Community Helpの検索ボックスにカメラのメーカー名と機種名を入力し、その機種とテザー撮影に関する既知の問題や不具合がないかを確認して、案内があればそれに従うよう書かれています。
環境設定の削除は元に戻せない操作を含むため、実行する前に手順を公式ページで確認してから進めるのが安全です。私は環境設定を触る前に、まず機種名で検索する順番にしています。同じ機種で困っている人がいれば、たいていそこに答えがあります。
メーカー別に必要な設定。つなぐ前にカメラ側を整える
テザー撮影は、パソコン側の操作だけで完結するとは限りません。メーカーによっては、カメラ側をあらかじめ特定のモードにしておく必要があります。Adobe公式ヘルプに書かれている内容を、メーカーごとに整理します。
FujifilmとSonyは、カメラ側のモード設定が前提になる
Fujifilmのカメラについては、テザー撮影を始める前に、カメラのモードをUSBテザー撮影モードにしておくこと、そしてLightroom Classicにインストールされているテザー用のプラグインを、編集メニューのプラグインマネージャーからオフにしておくことが案内されています。カメラの設定ではPCリモートモードを選び、RAW画像を取り込む必要がある場合はPC保存画像サイズをオリジナルに設定します。
Sonyのカメラについても、カメラの設定でPCリモートモードを選ぶこと、RAW画像を取り込む必要がある場合はPC保存画像サイズをオリジナルに設定することが案内されています。ここを見落とすと、つながってはいるのに小さなJPEGしか届かない、という状態になります。RAWで撮っているつもりで進めていると気づきにくい落とし穴です。
なお、Fujifilmについては、Lightroom Classic本体のテザー撮影機能を使うか、インストール済みのFujifilm用およびLeica用のテザープラグインを使うかを選べるという記載もあります。プラグインが入っている場合、Fujifilmのカメラでテザー撮影を開始するときに、どちらのモードを使うか選択できます。
CanonとNikonは、バージョンによる違いを把握しておく
Canonのカメラについては、Lightroom Classic 15.4でCanonカメラとのテザー撮影に新しいPTP(Photo Transfer Protocol)が使われるようになったと記載されています。もし問題が起きた場合は、テザーオプションでCanonカメラのテザーにCanon SDKを使用する設定を有効にすることで、従来のCanon SDKによる方式に戻せると案内されています。つないでも様子がおかしいときに、確認する価値のある項目です。
Nikonのカメラについては、バージョン8.1以前ではテザー撮影に接続できるNikonカメラは同時に1台のみで、2019年2月リリースのバージョン8.2で複数台のNikonカメラのテザー撮影に対応した、と記載されています。2台のカメラを同時につないで撮りたい場合は、使っているバージョンを確認してください。
こうしたメーカーごとの差は、事前に読んでいれば5分で済み、知らずにぶつかると1時間溶けます。撮影当日ではなく、前日のうちに一度つないで試しておくことを強くおすすめします。私は本番当日に初めてつないで、開始まで40分使ったことがあります。
テザー撮影が要る人、要らない人
ここまで手順を書いてきましたが、最初の問いに戻ります。テザー撮影はプロだけの機能なのか。答えは、プロかどうかではなく撮り方で決まる、です。判断の基準は「同じ場所で何枚も撮るかどうか」の一点に集約されます。
要る人:カメラが動かない撮影をしている人
- 物撮り。商品、作品、料理など、三脚に据えて何枚も撮るタイプの撮影
- 複製撮影。書類、絵画、資料など、ピントとゆがみの精度が求められる撮影
- 自分以外の人がその場で写真を見る撮影。依頼主や共同制作者が同席している場面
- 撮影枚数が多く、あとの整理に時間を取られている人。フォルダー分けとファイル名を撮影時に済ませられます
- RAWで撮っていて、確認画面と仕上がりのギャップに毎回戸惑っている人
この条件に2つ以上あてはまるなら、試す価値があります。特別な機材は要らず、必要なのはデータ通信ができるUSBケーブル1本と、対応しているカメラ、そしてLightroom Classicだけです。私自身、机の上で小物を撮るだけの用途でも、導入して損だとは感じませんでした。
要らない人:カメラを持って動く撮影をしている人
一方で、はっきり要らない人もいます。街を歩きながら撮るスナップ、子どもや動物のように動く被写体、旅行先での撮影。これらはカメラが移動することが前提なので、パソコンにつないだ状態では撮影そのものが成立しません。ケーブルの長さが行動範囲の限界になってしまいます。
屋外のロケ撮影も、電源の確保、機材の運搬、天候といった条件が重なるため、得られるものと持ち出す手間が釣り合わないことが多いです。テザー撮影は、撮影場所が固定されている撮影のための機能だと割り切ってしまうと判断が早くなります。
スマートフォンで撮っている場合はどう考えるか
ここまで書いてきたテザー撮影は、Adobe公式ヘルプに対応機種が掲載されているデジタルカメラを対象にした機能です。スマートフォンのカメラを同じようにパソコンへつないで撮る機能ではありません。ではスマートフォン中心の人に関係がないかというと、そうでもありません。
テザー撮影の本質は、撮った直後に大きな画面で確認し、そのまま現像の工程へ流し込むという流れにあります。スマートフォンの場合、この流れを担うのはクラウド側の同期です。撮影と現像を同じ環境の中でつなぐという考え方は共通しています。スマートフォンでの撮影と仕上げの基本については、スマホカメラは画素数より設定と仕上げ。性能ランキングを追うのをやめた話でまとめています。
テザー撮影を使うために必要なもの
最後に、実際に始めるときに必要なものを整理します。ハードウェア側は、対応しているカメラ、データ通信に対応したUSBケーブル、そして写真を保存する空き容量です。ソフトウェア側で必要になるのが、テザー撮影の機能を持つLightroom Classicです。
Adobe Lightroom Classic
三脚に据えて何枚も撮る人、撮影後の整理に時間を取られている人に向いています
カメラをUSBでつないだまま撮影し、写真をカードを経由せずカタログへ直接取り込めます。フォルダー分け、ファイル名、キーワード、現像設定を撮影時に決めておけるため、撮影が終わった時点で整理まで済んでいる状態を作れます。
Adobe公式サイトの写真関連プランのページ(2026年9月1日に確認)によると、Lightroom(1TB)のプランには、Lightroomのデスクトップ版、モバイル版、web版に加えてLightroom Classicが含まれます。さらにフォトプラン(1TB)では、それらに加えてAdobe Photoshopのデスクトップ版とiPad版が含まれると記載されています。
つまり、テザー撮影のためだけに何か特別なものを買い足す必要はなく、Lightroom Classicが含まれるプランを契約していれば使える機能だということです。合成や不要物の除去といった作業までやりたい場合はPhotoshopが含まれるプランを選ぶ、という分かれ方になります。プラン内容や価格は変更される場合があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q1. テザー撮影はクラウド版のLightroomでもできますか
テザー撮影について、Adobe公式ヘルプで手順や対応カメラのリスト、接続トラブルの対処が案内されているのはLightroom Classicです。対応カメラの一覧ページも、メーカー別の設定ページも、いずれもLightroom Classic向けとして用意されています。カメラをパソコンにつないで撮る作業はLightroom Classicで行うと考えてください。なお、Adobe公式サイトの写真関連プランのページ(2026年9月1日に確認)では、Lightroom(1TB)のプランにLightroom Classicが含まれると記載されているため、クラウド版のLightroomを使っている人が別の製品を追加契約する必要は基本的にありません。
Q2. 自分のカメラが対応しているかは、どこで確認できますか
Adobe公式ヘルプの「Lightroom Classic にテザーできるカメラのリスト」のページで確認します。対応しているのはCanon、Fujifilm、Nikon、Sonyの各社のカメラのうち、そのページに掲載されている機種です。同ページでは、Windowsなら Ctrl+F、macOSなら Command+F でページ内検索を使ってカメラ名で探すか、メーカーで絞り込む方法が案内されています。リストに載っていない機種については、テザー撮影に対応しているかどうかをカメラメーカーへ問い合わせるよう書かれています。あわせて、使っているLightroom ClassicのバージョンとOSの両方でサポートされているかも確認してください。
Q3. つないでも認識されません。何から確認すればよいですか
Adobe公式のトラブルシューティングページでは、次の順で確認するよう案内されています。長いUSBケーブルやUSB延長を使っている場合は短いケーブルに替えるか延長を外し、必要なら電源付きのUSBハブを使う。Lightroom Classicを開いてカメラを接続し直し、電源を入れてから試す。カメラが、使用中のバージョンとOSの両方でサポートされているか確認する。カメラメーカーの撮影用ソフトや編集用ソフトが開いていないか確認して閉じる。Windowsでは自動再生の設定で、カメラストレージのメモリーカードの項目を何もしないにする。それでも解決しない場合は環境設定ファイルの削除や、機種名での既知の問題の検索が案内されています。
Q4. FujifilmやSonyのカメラで、事前に必要な設定はありますか
あります。Adobe公式ヘルプによると、Fujifilmのカメラではカメラのモードをテザー撮影用のモードにしたうえで、カメラの設定でPCリモートモードを選び、RAW画像を取り込む必要がある場合はPC保存画像サイズをオリジナルに設定します。あわせて、Lightroom Classicにインストールされているテザー用プラグインを、編集メニューのプラグインマネージャーからオフにしておくことが案内されています。Sonyのカメラについても、カメラの設定でPCリモートモードを選び、RAW画像を取り込む場合はPC保存画像サイズをオリジナルにするよう記載されています。この設定を忘れると、接続はできてもRAWが届かないという状態になります。
Q5. パソコン側からシャッターを切れますか。カメラの設定も変えられますか
できます。Adobe公式ヘルプによると、テザー撮影を開始すると画面にフローティングのテザーバーが表示され、その大きな丸いシャッターボタンを選ぶか、カメラ本体のシャッターボタンを押すことで撮影できます。またテザーバーの右下にある設定ボタンからは、接続しているカメラのシャッタースピード、絞り、ISO感度、ホワイトバランスを操作できると案内されています。カメラに触れずに撮影できるため、三脚に据えた状態でブレを持ち込みたくない撮影と相性がよい機能です。
Q6. 撮った写真を、パターンごとにフォルダーで分けられますか
分けられます。テザー撮影を開始したときに表示されるテザー撮影設定のダイアログで、セッション名を指定すると、その名前のフォルダーに写真が保存されます。さらに撮影ごとに写真を分割する設定を選ぶと、セッションのフォルダーの中にサブフォルダーが作られ、サブフォルダーの名前はOKを押したあとに指定できます。撮影中に区切りを作りたいときは、Windowsなら Ctrl+Shift+T、macOSなら Command+Shift+T で新しい撮影を作成できます。現在の撮影名をクリックして新しい名前を入力する方法も案内されています。
Q7. 撮影しながら現像設定をあてることはできますか
できます。Adobe公式ヘルプによると、テザー撮影の際に現像設定のメニューから、取り込み時に適用するプリセットを選べます。プリセットとは、露光量やコントラスト、色などの現像設定をひとまとめに保存し、他の写真へまとめて適用できるようにしたもののことです。RAWで撮っていると、取り込んだ直後の表示はカメラの背面モニターで見ていた絵より平坦に見えます。仕上げの方向性に近いプリセットをあてておくと、確認画面が完成形に近づき、露出やライティングの判断がぶれにくくなります。
Q8. 2台のカメラを同時につないで撮れますか
カメラのメーカーとLightroom Classicのバージョンによります。Adobe公式ヘルプには、Nikonのカメラについて、バージョン8.1以前ではテザー撮影に接続できるNikonカメラは同時に1台のみで、2019年2月にリリースされたバージョン8.2で複数台のNikonカメラのテザー撮影に対応した、と記載されています。またCanonについては、Lightroom Classic 15.4でCanonカメラとのテザー撮影に新しいPTP(Photo Transfer Protocol)が使われるようになり、問題が起きる場合はテザーオプションでCanon SDKを使う設定に戻せると案内されています。複数台での運用を考えている場合は、使用中のバージョンを先に確認してください。
まとめ
テザー撮影は、プロだけの特別な機能ではありませんでした。カメラとパソコンをUSBケーブルでつなぎ、撮った写真をカード経由ではなく直接ソフトへ送るという、仕組みとしては単純な機能です。そして必要になるかどうかは、腕前ではなく撮り方で決まります。カメラが動かない撮影をしているなら効きますし、歩きながら撮るなら要りません。
始めるときに確認することも、整理してしまえば多くありません。Adobe公式ヘルプの対応カメラのリストで自分の機種を確認し、データ通信ができるUSBケーブルを用意し、FujifilmやSonyならカメラ側でPCリモートモードとPC保存画像サイズを設定しておく。あとはファイルメニューからテザー撮影を開始し、セッション名と撮影ごとの分割、現像設定を決めるだけです。
実際に使ってみて一番変わったのは、撮影の速さではなく、撮り直しの回数でした。失敗に気づくのが40枚あとから2枚目に早まるだけで、その日の作業量はまったく変わります。撮影後の整理も、セッション名とファイル名を撮影前に決めておいたおかげで、ほとんど手を動かさずに済むようになりました。
テザー撮影を含む撮影から現像までの作業は、Lightroom Classicが担当します。Lightroom Classicは単体で買い足すものではなく、写真向けのプランに含まれる形で提供されています。まずはどのプランに何が含まれているかを、公式サイトで見比べてみるところからでよいと思います。無料体験から試して、自分の撮り方に合うかどうかを確かめる進め方もあります。
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