ウェブやアプリのUI設計において「ステッパー(Step Indicator)」はユーザーの進行状況を視覚的に示す重要なナビゲーションパーツです。フォーム、会員登録、購入フロー、設定ガイドなど、複数のステップを経るプロセスにおいて今どの段階にいるのか、あと何段階残っているのかをユーザーに伝える役割を果たします。
本記事ではステッパーの基本から具体的なパターン、使用時の注意点、導入事例までを網羅的に紹介します。
ステッパーとは?:役割とメリット
ステッパーの役割
ステッパー(step indicator)は、多段階プロセスのUIに組み込まれるインターフェース要素です。各ステップを明示し、ユーザーが現在地とゴールを把握できるようにします。
主なメリット
- ユーザーの不安軽減
- プロセス全体の見通しが立つことで、途中離脱を防ぎやすくなる。
- 進捗の可視化
- 現在のステップと残りの工程が視覚的に把握できる。
- 操作ガイドの簡素化
- 手順を分割することで、一度に表示される情報量を抑えられる。
ステッパーの主要タイプ一覧
1. 水平ステッパー(Horizontal Stepper)
もっとも一般的なタイプ。画面上部などにステップを横一列で配置する。
用途例
ECサイトの購入フロー、会員登録、予約システム
特徴
- 直線的な流れを視覚的に表現
- ステップ数が多すぎると横スクロールが必要になる場合もある
2. 垂直ステッパー(Vertical Stepper)
ステップを縦に並べる方式。フォームや設定系UIでよく使用される。
用途例
詳細設定フォーム、アプリの初期セットアップ
特徴
- 情報量が多い場面に適している
- モバイルとの相性が良い
3. 数値型ステッパー(Numbered Stepper)
ステップに番号を振るスタイル。ステップの順序が重要な場合に効果的。
用途例
アンケート、テスト形式のUI
特徴
- ステップの順番が明確に伝わる
- 一目で進捗率が把握できる
4. アイコン型ステッパー(Icon-based Stepper)
各ステップをアイコンで表現し、視覚的にわかりやすくしたデザイン。
用途例
プロフィール作成、チュートリアル
特徴
- 直感的に理解できる
- 装飾性が高く、ブランディングに貢献
5. ラベル付きステッパー(Labeled Stepper)
ステップ名を明示的に記載。ユーザーがステップ内容を事前に把握できる。
用途例
契約手続き、BtoBシステムの設定フロー
特徴
- 各ステップの意味が伝わりやすい
- スペースを多く必要とする
ステッパー設計時の注意点
1. ステップ数はできる限り抑える
ステップが多すぎると離脱率が上がる。3〜5段階程度が理想的。多くなる場合はステップ内にさらにセクション分けを行う。
2. 現在位置の明示
今どのステップにいるのかを強調することが大事。色や太字、ハイライトなどで視認性を確保。
3. 過去ステップへのアクセス可否
戻れるかどうかを明示する。戻れる仕様の場合は、UIでもインタラクション可能なデザインにする。
4. レスポンシブ対応
モバイルでは横幅が限られるため、縦型ステッパーに切り替えるか、ハンバーガー形式にまとめる。
5. ステップ完了条件を明確に
「次へ」ボタンの活性化条件を明示する(必須項目の入力、同意チェックなど)。
ステッパー導入の具体例
■ Shopifyのチェックアウト画面
水平方向に3ステップ(情報入力 → 配送 → 支払い)を配置。シンプルでユーザーの期待値を裏切らない構成。
■ Googleフォーム
垂直方向に各ステップを配置。セクションごとに質問が表示され、次に進むたびにステップが切り替わる。
■ マイナポータル(日本政府)
複雑な手続きフローの中で、ラベル付きステッパーを使用。公的な手続きでも、段階を示すUIは重要な役割を果たしている。
ステッパーに使えるUIライブラリ
■ Material UI(React)
<Stepper>コンポーネントで水平方向・垂直方向両方のステッパーを実装可能。
■ Ant Design
Stepsコンポーネントでアイコン付き、進捗バー付きのステッパーが実装できる。
■ Bootstrap
progressとnavを組み合わせることで、簡易ステッパーを作成可能。
ステッパーを効果的に使うためのチェックリスト
- ステップの順番は論理的か?
- 途中で中断した場合の再開フローは考慮されているか?
- モバイルでも視認性・操作性が担保されているか?
- 視覚的に今どこにいるか分かりやすいか?
- 途中のステップに戻れるかどうか明示されているか?
まとめ
ステッパーはただの飾りではありません。ユーザーの行動をガイドし、ストレスを減らし、コンバージョン率を上げるためのUI設計におけるキーパーツです。今回紹介した各種ステッパーをプロダクトに適切に導入することで、ユーザー体験を確実に向上させることができます。
プロセスがあるところにステッパーあり。UI設計において迷ったら「ステップを見せるべきか?」を考えるクセをつけてみてください。
他にもクリエイターの収入アップ方法も紹介しているので、自分の給与に違和感がある方は覗いていってみてください。