「エンプティステート(Empty State)」は軽視されがちな要素ですが、ユーザー体験を左右する重要なUIパーツの一つです。本記事ではエンプティステートの役割と効果的な設計ポイントを解説し、実際の参考になるUIパーツの例を一覧形式で紹介します。
エンプティステートとは?
エンプティステート(Empty State)とはアプリやWebサービス上で「データがまだ存在しない状態」を示す画面です。例えば以下のような状況が該当します。
- 初めてアプリを開いたとき(データが何もない)
- 検索結果が0件だった場合
- フィルターで何もヒットしなかったとき
- 削除などの操作で全データが消えた直後
単なる「空のスペース」ではなく、ユーザーに次のアクションを促すための「ナビゲーションポイント」として設計すべきUIです。
エンプティステートの役割
ユーザーに状況を説明する
- なぜ画面に何も表示されていないのか、明確な理由を提示します。
次のアクションを示す
- 例えば「新しいタスクを作成してください」など、具体的な次のステップを提示。
サービスの価値を伝える
- 初回ユーザー向けにサービスの目的や価値を強調する場所として活用。
ブランドイメージの強化
- イラストやトーンをブランドに合わせて調整することで、世界観を統一できます。
良いエンプティステートの条件
簡潔なメッセージ
→ 一目で状況が把握できる短い文章を使う。
視覚的ヒント
→ イラストやアイコンで感覚的にも「空」を表現。
行動を促すCTA(Call To Action)
→ たとえば「+新規作成」など、すぐに行動できるボタンを配置。
ネガティブ感を減らす工夫
→ 「データがありません」と突き放すのではなく、前向きな言い回しで表現。
エンプティステートのデザインパターン一覧
具体的なエンプティステートのデザイン例をカテゴリ別に紹介します。各例には設計の意図やベストプラクティスも添えています。
初回起動時のエンプティステート
パターン例
- イラスト+「まだ〇〇がありません」+「新規追加ボタン」
- アニメーション付きの説明ツアーを表示
ベストプラクティス
- 不安を与えない言葉選び
- 操作方法やメリットを視覚的に説明
- ボタンに色をつけてクリック誘導を明確に
検索結果ゼロ時
パターン例
- 虫眼鏡のアイコン+「一致する結果はありません」
- 「キーワードを変えてみてください」などのヒント
ベストプラクティス
- 否定的な表現を避ける
- 検索補助機能(例:人気のキーワード)と組み合わせる
フィルタリング結果が空の場合
パターン例
- スマートに「フィルター条件が厳しすぎるかも?」と示唆
- 「フィルターをリセット」ボタンの設置
ベストプラクティス
- ユーザーの設定を否定せず、やさしく導く
- 条件の一部を可視化するUIがあると親切
エラーハンドリング用エンプティステート
パターン例
- 雲のイラスト+「読み込みに失敗しました」+「再読み込み」ボタン
ベストプラクティス
- 原因は詳しく説明せず、次のステップを示す
- 再試行できるUIアクションを必ず用意
削除後・完了後のエンプティステート
パターン例
- 「おめでとうございます!すべて完了しました」+ガッツポーズのキャラ
- 「ここには何もありません。リラックスしてOK!」
ベストプラクティス
- 作業完了をポジティブに演出
- 次のアクションへの動線も忘れずに(例:別のタスクへ誘導)
エンプティステートライブラリ
以下のデザインシステムやライブラリでも、質の高いエンプティステートパーツが収録されています。
| ライブラリ名 | 特徴 | URL(検索キーワード例) |
|---|---|---|
| Material Design | ガイドラインが豊富 | “material empty state” |
| Ant Design | すぐ使えるReactコンポーネント | https://ant.design/components/empty/ |
| Tailwind UI | シンプルで拡張しやすい | “tailwind ui empty state” |
| Figma Community | デザインファイルの宝庫 | “empty state” で検索 |
| UI8 | 商用向けUIキットが豊富 | https://ui8.net/ |
まとめ
エンプティステートは単なる空白の画面ではなく、ユーザーの体験をスムーズにするためのナビゲーションです。効果的なエンプティステートはユーザーに安心感を与え、目的達成への道筋を示します。
良いエンプティステートをデザインすることは結果的にサービス全体のUXを底上げすることに直結します。
今後のUI設計においては情報が「ない」状態にも価値を持たせることを忘れずに設計していきましょう。
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