UIデザインにおいて「カルーセル」「スライダー」「ウォークスルー」という言葉はよく耳にします。しかし似たような動きをするため、違いが分かりにくいと感じる人も多いでしょう。本記事ではそれぞれの定義、目的、使いどころ、メリット・デメリットを整理し、実際のデザインに役立てられる知識としてまとめます。
カルーセルとは
定義
カルーセル(Carousel)とは複数のコンテンツ(画像やカードなど)を横にスライドさせて順番に見せるUIパターンです。トップページのバナーや商品紹介でよく使われます。
目的
- 複数の情報を限られたスペースにまとめる
- ユーザーに多様なコンテンツを提示する
特徴
- 自動再生(オートプレイ)が多い
- 左右の矢印やドットナビゲーションが付く
- 各スライドに視覚的なインパクトを持たせる
メリット
- スペースを有効活用できる
- 複数コンテンツを一括で見せられる
デメリット
- 最初の1枚以外は見られないことが多い
- 過剰に使うとユーザーの操作を妨げる
- アクセシビリティに注意が必要
使用例
- ECサイトのトップバナースライド
- イベント情報の告知
スライダーとは
定義
スライダー(Slider)はコンテンツや値を動的に変更できるUIコンポーネントの総称です。カルーセルも広義ではスライダーの一種ですが、スライダーという言葉はより幅広く使われます。
目的
- ユーザーが情報や設定を動的に変更できるようにする
- 視覚的に変化を与える
特徴
- 値の選択(例:音量、明るさ)にも使われる
- コンテンツスライドだけでなく、UIコントロールとしても機能
メリット
- 直感的な操作が可能
- インタラクションによるユーザー体験向上
デメリット
- 不適切な実装でユーザビリティが低下することも
- 小さいデバイスでは操作性が課題になる
使用例
- フォームでのレンジ選択(価格帯、年齢層)
- ギャラリー表示の切り替え
ウォークスルーとは
定義
ウォークスルー(Walkthrough)とはアプリやウェブサービスの初回起動時に、基本的な使い方やメリットを段階的に説明するガイド機能です。
目的
- 初めてのユーザーがスムーズにサービスを理解できるようにする
- 離脱を防ぎ、定着率を上げる
特徴
- スライド形式で進行することが多い
- 1画面1メッセージを基本とする
- 誘導的なアクションボタン(例:”次へ” “開始する”)がある
メリット
- 初心者の不安を軽減できる
- サービス価値を素早く伝えられる
デメリット
- 長すぎると逆効果(ユーザーが離脱)
- 一度しか表示されないと効果が薄れる場合も
使用例
- モバイルアプリのオンボーディング
- SaaSツールの初回ログイン時チュートリアル
違いを整理する
| 項目 | カルーセル | スライダー | ウォークスルー |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | コンテンツ提示 | 値や表示の動的変更 | 初回ガイド |
| ユーザー操作 | 必要ない場合も多い(自動再生) | 必須(ユーザーが動かす) | 必須(ユーザーが”次へ”押す) |
| 典型的な形態 | バナーや商品紹介 | レンジバーやギャラリー | ステップ形式の説明 |
| 使用タイミング | 常に表示 | 設定や入力時 | 初回利用時 |
それぞれ目的が違うため単に“横に動くUI”というだけで同列に扱うべきではありません。ユーザー体験に直結するので選択と設計には注意が必要です。
UIデザインにおける実践ポイント
カルーセル
- 最初のスライドに最も重要な情報を置く
- スライド数は3〜5枚に抑える
- 明確なナビゲーションを用意する
スライダー
- モバイル対応に注意する(タッチ操作)
- 選択肢の幅や刻み幅を適切に設計する
- 視覚的なフィードバック(値の表示など)を忘れない
ウォークスルー
- 最小限のステップに絞る
- ユーザーがスキップできる設計にする
- 実際の操作に繋がる構成にする(例:”今すぐ設定する”ボタン)
まとめ
カルーセル、スライダー、ウォークスルーは、すべて”動き”を伴うUIですが目的や使い方が異なります。単にビジュアル的にかっこいいから使うのではなく、ユーザーの行動や心理を考慮して適切に設計することが求められます。
特にスマートフォンなど小型デバイスでは、1回の操作の重みが大きくなります。カルーセルなら本当に複数スライドを見てもらえるのか、スライダーなら直感的に操作できるか、ウォークスルーなら離脱させずに魅力を伝えられるか。こうした視点を持って設計できるかどうかが、UIデザインの質を大きく左右します。
この記事があなたのデザイン判断の助けになれば幸いです。
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