近年プログラミングの知識がなくてもシステムやアプリを作れる「ノーコード」や、少しのコードで高度な機能を実現できる「ローコード」ツールが急速に広がっている。これらのツールを使えば、専門のエンジニアでなくても業務効率化や新しい仕組みづくりが可能だ。この記事では代表的な3つのツール——Notion、Airtable、Power Automate——を取り上げ、それぞれの特徴や使いどころを整理していく。
ノーコード/ローコードの背景
従来、業務のシステム化やアプリ開発はエンジニアに依頼するしかなかった。しかし、ビジネス環境の変化が激しくなり「必要な仕組みをすぐに導入したい」というニーズが強まったことで、エンジニア以外の人でも使えるツールが求められるようになった。
その解決策として登場したのがノーコード/ローコードツールだ。これらを使うことで、非エンジニアでも次のようなことが可能になる。
- 情報の一元管理
- データベースの構築
- タスクやワークフローの自動化
- Webアプリや業務アプリの作成
「自分で仕組みを作れる」ことは、個人の生産性だけでなく、チーム全体のスピードや柔軟性にも大きな影響を与えている。
Notion:オールインワン型ワークスペース
特徴
Notionはドキュメント、タスク管理、データベースを一体化できるツールだ。直感的なブロック構造でページを作り、表・カレンダー・カンバンなど多様なビューで情報を整理できる。
「ノートアプリ以上、プロジェクト管理ツール未満」という印象を持たれがちだが、実際はその中間に収まらない柔軟性を備えている。
強み
- 情報の一元化:議事録、仕様書、タスク、データベースを1つのワークスペースにまとめられる。
- カスタマイズ性:テンプレートが豊富で、個人メモからチームナレッジ管理まで幅広く対応。
- 連携機能:SlackやGoogle Driveなど外部サービスとも連携可能。
活用例
- 社内Wikiやナレッジベースの構築
- プロジェクトの進行管理
- 顧客リストや案件管理データベース
- 個人の目標管理やライフログ
注意点
大量のデータ処理や複雑な自動化には限界がある。Notion単体で完結させるのではなく、他のツールと組み合わせる発想が必要だ。
Airtable:データベース×スプレッドシート
特徴
Airtableは「スプレッドシートの操作感でデータベースを扱える」ことが最大の魅力だ。Excelに慣れた人でも直感的に操作でき、裏側ではしっかりとしたデータベースが機能している。
強み
- 多様なビュー:グリッド、カンバン、カレンダー、ギャラリーなど、用途に合わせて表示形式を切り替え可能。
- 自動化とAPI:レコード更新をトリガーに通知や外部サービス連携を実行できる。
- 拡張性:アプリマーケット「Airtable Apps」でガントチャートや地図表示など機能追加が可能。
活用例
- 顧客管理(CRM)
- 在庫や資産の管理
- マーケティングキャンペーンの進行管理
- イベント企画やスケジュール調整
注意点
大規模データや複雑なロジック処理には不向き。高度な分析はBIツールやスクリプト連携が必要になる。
Power Automate:Microsoft製の自動化プラットフォーム
特徴
Power Automateは、Microsoftが提供するローコードのワークフロー自動化ツールだ。Office 365との親和性が高く、Excel、Outlook、Teamsといった日常業務でよく使うアプリを自動化できる。
強み
- 豊富なコネクタ:500種類以上のサービスと連携可能。
- デスクトップ自動化:Power Automate Desktopを使えば、ローカルPCでの操作を自動化(RPA機能)。
- Microsoft製品との統合:Excelに入力されたデータを自動的にTeamsに通知、などシームレスな連携が可能。
活用例
- メールの自動仕分けや通知
- Excelファイルからのデータ抽出とレポート作成
- 顧客からの問い合わせをTeamsに自動転送
- 定型業務(請求書処理、勤怠入力など)のRPA化
注意点
高度な自動化を行うにはライセンス費用がかかる。特にデスクトップ自動化を多用する場合はコストを見積もる必要がある。
ツール比較:どれを使うべきか?
それぞれのツールは得意分野が異なる。シンプルに整理すると以下のようになる。
| ツール | 得意分野 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Notion | 情報整理・共有 | ナレッジ管理、タスク管理、社内Wiki |
| Airtable | データ管理・整理 | CRM、在庫管理、進行管理 |
| Power Automate | 業務自動化 | メール処理、通知、自動レポート、RPA |
- 情報の集約やチームコラボレーションを重視するならNotion
- データベース的な管理や案件進行の可視化を重視するならAirtable
- 定型作業を自動化して効率化したいならPower Automate
と選ぶのが基本の考え方だ。実際には、これらを組み合わせて使うことで、より強力な仕組みを作れる。たとえば、Airtableで顧客管理を行い、その更新をPower AutomateでTeamsに通知し、プロジェクトの全体像はNotionで管理するといった具合だ。
まとめ
ノーコード/ローコードツールは「誰でも自分で仕組みを作れる」時代を切り開いた。
- Notionは「情報の集約」
- Airtableは「データ管理」
- Power Automateは「業務自動化」
という役割を担いそれぞれを組み合わせることで大企業から個人事業主まで幅広く活用できる。
最初は小さな業務から導入し慣れてきたら他のツールと連携させるとよい。効率化の効果を実感しながら、段階的に活用範囲を広げていくのが現実的なアプローチだ。
ノーコード/ローコードは「IT部門だけのものではない」。現場の担当者が自分で改善できる強力な武器である。これを活かせるかどうかが、今後の業務スピードと生産性を大きく左右するだろう。
他にもクリエイターの収入アップ方法も紹介しているので、自分の給与に違和感がある方は覗いていってみてください。