Gemini にプレゼンを見せると、何が変わるのか

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プレゼンの準備は、いつも一人でやるものだと思っていた。スライドを作り、原稿を読み返し、時間を測り、また直す。そのサイクルを何度か繰り返して、「まあこれでいいか」と自分を納得させる。その繰り返しの中で、「誰かに見てもらえたら」と思うことが何度もあった。

Geminiにプレゼンの内容を見せてみたのは、そんな場面だった。最初は半信半疑だった。スライドのデザインは見せられないし、AIに話し方の練習ができるとも思っていなかった。でも実際にやってみると、想像していたよりもずっと役に立つ場面があった。

一言で言えば、Geminiはプレゼンの「内容と論理構成」を磨くパートナーとして使える。スライドのビジュアルや話し方のトーンは見てもらえないが、「この流れで伝わるか」「この説明は分かりにくくないか」「聴衆はどんな質問をしてくるか」——そういった内容的な問いに答えてもらうことができる。この記事では、実際にGeminiを使ってプレゼン準備をやってみて、何が変わったかを書く。

Geminiはプレゼンのどこをレビューできるのか

まず整理しておきたいのは、Geminiにできることとできないことの区別だ。「プレゼンを見せる」と言っても、スライドの画像ファイルをそのまま見てもらうのとは違う。テキストで内容を伝えて、それに対してフィードバックをもらう、というやりとりになる。

Geminiとは、AIが大量のテキストを学習して構築した対話型の情報処理モデルのことです。文章の意味を理解し、論理的な構成を分析し、質問に答える能力を持っています。この特性が、プレゼン内容のレビューに役立つ。

構成・論理のフィードバック

Geminiにもっとも役立ってもらえるのは、「この話の構成で聴衆に伝わるか」という点の確認だ。私が実際にやったのは、各スライドのタイトルと箇条書きの内容をテキストで貼り付けて、「この流れで伝わるか、おかしなところはあるか教えてほしい」と投げかけることだった。

返ってきた指摘の中で特に役立ったのは、「スライド3と5の内容が重複している」「前半で課題を提示しているのに、解決策に入る前にまた別の課題の話が入っていて流れが分断されている」という指摘だった。自分では気づかなかった構成上の問題が、客観的な目線で見るとはっきり見えた。

こういったフィードバックは、スライドを見た知人に頼もうとすると気を使うし、頼める相手がいない場合もある。Geminiは気兼ねなく「もっと厳しく指摘して」と言えるので、遠慮のないレビューが得られる点が大きい。

伝わりにくい表現の言い換え提案

もう一つ使えたのは、専門用語や業界用語の確認だ。社内向けのプレゼンと、社外の人(クライアントや他業界の関係者)向けのプレゼンでは、使っていい言葉のレベルが変わる。自分では「これくらいは分かるだろう」と思っている言葉が、実は伝わっていない、ということはよくある。

Geminiに「このスライドに業界用語や分かりにくい表現があれば教えてほしい。聴衆は〇〇業界ではない一般のビジネスパーソンを想定している」と伝えると、「この部分の『〇〇』は専門的すぎる可能性がある」「この説明だけでは背景が伝わらないかもしれない」といった指摘が返ってくる。

実際に試してみたとき、「この表現は社内用語になっているかもしれません。例えば〇〇と言い換えると、業界外の方にも伝わりやすくなります」という提案をもらい、それをそのまま使ったことがある。自分が「当たり前」と思っている言葉が伝わっていないことに気づくのは難しい。Geminiのような外部の視点が、そのブラインドスポットを補ってくれる。

具体的にどう使ったか

抽象的な話だけでは参考にならないと思うので、実際に私がどういうやりとりをしたか、具体的な場面を書いておく。

会議資料への活用(社内向け提案プレゼン)

あるとき、新しい業務フローの提案を社内でプレゼンする機会があった。スライドは10枚程度で、「現状の課題」「提案内容」「期待される効果」「実施スケジュール」という構成だった。

Geminiに「以下は社内プレゼンのスライド構成です。提案の説得力を高めるために改善すべき点があれば教えてください」と投げかけ、各スライドのタイトルと主要な内容を箇条書きで貼り付けた。

返ってきたフィードバックは3点だった。1点目は「課題の深刻さを数字で示すと説得力が増す」、2点目は「期待効果の表現が曖昧で、具体的にどの数値がどれくらい改善するかが分からない」、3点目は「実施スケジュールに担当者が明記されておらず、誰が動くのかが不明」という点だった。

この3点は、見返してみると確かにその通りだった。自分でも薄々感じていたが、「まあいいか」と流していた部分をきちんと指摘してもらえた形だ。プレゼン当日、質問が来るとすれば「具体的な数字は?」「誰が担当するの?」という点だと予想できたので、事前に準備しておけた。

想定質問を洗い出してもらう

Geminiをプレゼン準備に使う中で、特に効果的だと感じたのが「想定質問の洗い出し」だ。プレゼン後のQ&Aで突然の質問に詰まるのは、準備が不十分だった証拠でもある。Geminiに「もし私がこの内容でプレゼンをしたとして、聴衆からどんな質問が出そうか」と聞くと、鋭い質問リストを出してくれる。

実際に出てきた想定質問の中には、「この提案にかかるコストはどのくらいか」「既存のシステムと互換性はあるか」「もし途中でうまくいかなかったときはどうするのか」といった、準備が必要なものが複数あった。これらを先に考えておくことで、Q&Aで慌てずに答えられる準備ができた。

さらに、「この質問に対してどう答えるか」をGeminiに相談することもできる。「コストについて正確な数字がまだ出ていない場合、どう説明すれば聴衆を納得させられるか」と聞くと、「現時点では概算として〇〇という数字を提示しつつ、詳細は〇〇のタイミングで改めて共有すると伝えるのが自然です」という答えが返ってくる。

Geminiと説明練習をする

プレゼンの「内容」だけでなく、「説明の練習」にもGeminiを使える。スライドを声に出して説明する練習を一人でやっても、自分には「うまく説明できているかどうか」が分かりにくい。Geminiに聴衆の役を演じてもらうことで、この問題を部分的に解決できる。

説明の受け手を演じてもらう

「あなたはこのプレゼンの聴衆として聞いてください。私が説明するので、理解できなかった点、もっと説明が必要だと感じた点を教えてください」とGeminiに伝えてから、テキストで説明を書き出す。

これが想像以上に機能した。自分では丁寧に説明したつもりの部分に対して、「この説明は少し唐突で、なぜそうなるのかの理由が分かりませんでした」という返しが来ることがある。実際に説明している側は「分かって当然」と思っている前提を、Geminiが「初めて聞いた人」として指摘してくれる。

「分かって当然」という思い込みはプレゼンの最大の落とし穴で、Geminiはその落とし穴を事前に教えてくれる役割を果たせる。全ての落とし穴に対応できるわけではないが、一人で練習するよりはるかに有益だった。

聴衆の種類別に説明を変える練習

同じ内容でも、聴衆が変わると説明の仕方を変えなければならない。技術者向けの説明と経営層向けの説明では、使う言葉も、強調するポイントも違う。Geminiにその練習の相手になってもらうことができる。

「今から私がこの内容を技術者ではなく、経営層向けに説明し直します。専門用語が多すぎないか、経営的な視点で何が足りないか、フィードバックしてください」と伝えてから説明文を書くと、「この部分は技術的な詳細に入りすぎています。経営層が気にするのは〇〇なので、その観点を先に出すと効果的です」というような指摘が返ってくる。

プレゼンが複数の異なる聴衆向けに複数回ある場合、このやり取りを聴衆ごとに繰り返すことで、それぞれに最適化した説明のポイントを事前に整理できる。

GeminiでできないことをGeminiに聞いてみた

使ってみて分かったのは、Geminiが役立てる領域と、そうでない領域がはっきりしているということだ。その境界を理解した上で使うことが、過度な期待や失望を防ぐために大切だと感じた。

視覚的なデザインへのフィードバックは難しい

スライドの色使い、フォント、図表のレイアウト、グラフの見やすさ——これらのビジュアル的な部分については、テキストでのやりとりでは限界がある。「スライドの色が明るすぎる」「フォントが小さすぎて読みにくい」といった視覚的な問題は、Geminiに文章で伝えることで意見はもらえるが、実際に見てもらうわけではないため正確なフィードバックは難しい。

ただし、「このグラフで伝えたいことは〇〇だが、グラフの種類として棒グラフと折れ線グラフのどちらが適切か」という判断については、Geminiに相談することができる。データの種類と目的を説明すれば、適切なグラフ形式についてのアドバイスが得られる。

相手の感情・その場の空気を読むことはできない

実際のプレゼンでは、聴衆の反応を見ながら説明を調整することが重要だ。「この部分は退屈そうだ」「ここで質問が出そうだ」「今のは刺さっていないな」といった、その場の空気を読む能力はGeminiには持てない。あくまでも「事前準備」のパートナーであり、本番の代わりにはならない。

また、「この提案が通るかどうか」という、組織の力学や人間関係が絡む判断もGeminiの得意領域ではない。「なぜこの提案が通りにくいのか」「どうすれば承認者が動くか」といった、人の心理と組織文化に踏み込んだ問いには、コンテキストを詳しく説明すれば参考意見はもらえるが、正確な判断は難しい。

よくある質問(FAQ)

Q1. スライドのファイルをそのままGeminiに渡せますか?

GeminiはPowerPointやKeynoteのファイルを直接読み込んでレビューする機能は基本的には限定的です。テキストとして各スライドのタイトルと内容を貼り付けてフィードバックを求める方法が現実的です。ただし、Geminiの機能は継続的に拡張されているため、最新のバージョンでは画像を含む形式に対応している場合もあります。

Q2. 機密情報を含むプレゼン資料をGeminiに見せても大丈夫ですか?

機密情報や個人情報が含まれる場合は注意が必要です。Geminiとのやりとりはサービス改善のために使われる可能性があるため、顧客名、具体的な売上数字、個人情報などは入力しないことをお勧めします。機密部分は伏せ字にしたり、「〇〇社の案件として」という仮の形にして内容だけ伝えるという工夫ができます。

Q3. Geminiのフィードバックはどのくらい信頼できますか?

Geminiのフィードバックは「一般的なプレゼンテーションの観点からの意見」として参考にする程度が適切です。業界特有の文脈や、組織内の事情、相手の個性といった情報はGeminiには伝わらないため、全てのフィードバックが正しいわけではありません。「こういう見方もあるか」という参考意見として受け取るのが建設的な使い方です。

Q4. 英語のプレゼンにもGeminiは使えますか?

Geminiは英語でのやりとりも得意で、英語のプレゼン内容のフィードバックも有効です。「このスライドを英語で説明するのですが、ネイティブスピーカーにとって不自然な表現はありますか?」という聞き方もできます。また、日本語の内容をもとに英語プレゼン用の説明文を作ってもらうという使い方も可能です。

Q5. プレゼン資料を一から作るのもGeminiに頼めますか?

「〇〇というテーマで10枚程度のプレゼンの構成を作ってほしい」という依頼はできます。各スライドのタイトルと記載すべき内容の概要を出してもらうことは可能です。ただし、実際のスライドデザインや図表の作成は別のツールが必要です。Geminiはあくまで「何を伝えるか」の構成支援が得意で、視覚的なアウトプット自体は生成できません。

Q6. プレゼン後の振り返りにもGeminiは使えますか?

プレゼン後の振り返りにも活用できます。「今日のプレゼンでこういう質問が出たのですが、どう答えるべきでしたか?」「聴衆の反応がこうだったのですが、何が原因だと思いますか?」という形で状況を説明すると、改善点の整理を手伝ってもらえます。次回のプレゼンに活かせる学習として使うことができます。

まとめ

Geminiにプレゼンを見せてみると、何が変わるか。私の経験からまとめると、「自分では気づかなかった構成の問題が見える」「伝わりにくい表現が分かる」「想定外の質問に事前に備えられる」という3点が大きかった。

プレゼン準備における活用法を改めて整理すると、以下のようになる。

  • スライドの構成・論理の整合性をチェックしてもらう
  • 専門用語や業界用語の言い換えを提案してもらう
  • 聴衆から出そうな質問をリストアップしてもらう
  • 説明の受け手として聞いてもらい、分かりにくい部分を指摘してもらう
  • 聴衆の種類が変わる場合に、説明の最適化をサポートしてもらう

一方で、スライドのデザイン、話し方のトーン、その場の空気を読むことは、現時点ではGeminiには難しい。Geminiが補えるのは「内容と論理の部分」であり、それ以外は人間が担う必要がある。

ただ、「内容と論理」こそが、プレゼンの成否を左右する最も重要な部分でもある。どれだけデザインが洗練されていても、話し方がうまくても、内容に説得力がなければプレゼンは通らない。その核心部分をGeminiが磨く手助けをしてくれるなら、使わない理由はない。

プレゼンを一人で完成させるより、Geminiという第二の目を持って仕上げた資料のほうが、確実に精度が上がる。次にプレゼンの準備をする機会があれば、ぜひ一度Geminiにも見せてみてほしい。「なぜそこが気になるんだ」と思うような指摘が来ることが、良いプレゼンへの近道になる。

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