マーケターが Google Stitch を使ってみた、正直なレポート

マーケターとして仕事をしていると、「UIデザインが必要な瞬間」が思ったより多い。

LPの改善案をデザイナーに依頼する前にイメージを伝えたい。ABテスト用のバリエーションをすぐ試したい。クライアントへの提案資料にサービスのUIイメージを入れたい。広告クリエイティブのランディング先の見た目を確認したい——こういった場面で「自分でさっとデザインが作れたら」と思うことがある。

Google Stitch を試してみたのは、そういう動機からだった。デザイナーに頼むほどではないが、言葉だけでは伝わらない、という場面を自分で解決できないかと思った。

3ヶ月使い続けた結果を、マーケター視点で正直に書く。

一言で言えば、マーケターにとってのGoogle Stitch は「デザイナーへの依頼を減らす」ツールではなく「デザイナーへの依頼の質を上げる」ツールとして最も効果を発揮する。

マーケターが「デザインが必要になる場面」

まず、マーケターとしてどんな場面でUIデザインが必要になるかを整理しておく。

  • LP改善の提案:「ヒーローのレイアウトをこう変えたい」というイメージをデザイナーに伝える
  • ABテスト用バリエーション:CTAボタンの位置や色を変えたバージョンをすばやく試す
  • 広告ランディングページの設計:広告に合わせたLP設計の方向性を決める
  • 提案資料へのUI挿入:「こういうUIにしたい」という資料に入れるビジュアル
  • 競合調査の比較資料:競合サービスのUI分析を視覚化する

これらのうち、Google Stitch が実際に役立った場面と、そうでなかった場面を正直に書く。

役立った場面①:LP改善案のイメージ共有

最も効果を感じたのは「デザイナーへの依頼時のイメージ共有」だった。

以前は「ヒーローのキャッチコピーをもっと大きくして、CTAボタンを上に持ってきてください」という文章で依頼していた。デザイナーはその文章を解釈して作るが、自分のイメージと出てきたものがずれることがよくあった。

Google Stitch で「こういう感じ」のUIを生成してから依頼するようになってから、「イメージと違う」という修正が大幅に減った。「このスクリーンショットのような方向性で、色はブランドカラーに変えて」という依頼に変わったからだ。

実際にかかった時間

「LP改善案のイメージを作る」という作業は、以前なら「適切な言葉を考える」ために30分〜1時間かかることがあった。Google Stitch を使い始めてから、この作業が10〜15分になった。プロンプトを入力して複数パターンを見比べて、「これに近い」を選ぶだけだ。

デザイナーへの依頼の質が上がったことで、修正往復が減り、全体の制作スピードも上がった。これがマーケターとしての最大の収穫だった。

役立った場面②:ABテスト用のバリエーション比較

ABテストで「どちらのレイアウトの方がCVRが高いか」を検証する前に、「どのパターンをテストするか」を決める段階がある。この段階でGoogle Stitch が使えた。

「ヒーローのCTAボタンを上に配置したバージョン」と「スクロール後に固定表示するバージョン」を、Google Stitch でそれぞれ生成して並べてみる。「どちらがユーザーにとって分かりやすいか」の議論をチームでする際に、ビジュアルがあると議論が具体的になった。

「どちらをテストするか」の意思決定が速くなった

以前はテストのバリエーションを「言葉で説明して議論する」ことが多かった。「AパターンはCTAを上にして、BパターンはCTAを固定表示にして……」という口頭の議論は、全員が同じものをイメージできているか不確かだ。

ビジュアルを見ながら議論することで、「そのCTAはスマートフォンだとどのくらいの大きさに見えるか」「スクロール量によってCTAが見えなくなる時間はどのくらいか」といった具体的な視点が出やすくなった。意思決定の質と速度が上がった。

役立った場面③:新規サービス提案資料へのUI挿入

「こういうサービスを作りたい」という提案資料に、UIのビジュアルを入れる場面でも使えた。

以前は「UIはデザイナーに依頼して作ってもらう」か「フリー素材のUIモックアップを流用する」しか選択肢がなかった。前者は時間がかかり、後者は提案内容と合わないことが多かった。

Google Stitch でサービスイメージに合ったUIを生成して挿入することで、「このサービスの実際の画面」に近いビジュアルを自分で用意できるようになった。提案の説得力が上がったと実感した。

役立たなかった場面:ブランドガイドラインへの完全準拠

期待に反してうまくいかなかったのは、「既存ブランドのガイドラインに完全に準拠したUI」を作ろうとした場面だった。

自社または顧客のブランドカラー・フォント・デザインルールを厳密に反映したUIが必要な場合、Google Stitch だけでは限界がある。HEXコードを指定しても、細かいニュアンス(同系色の使い分け・特定のグラデーションルール・アイコンスタイルの統一など)まで再現するのは難しい。

この場合は、「大枠のレイアウト・情報構成をGoogle Stitch で作り、細部のブランド適用はデザイナーに依頼する」という役割分担が現実的だと判断した。

マーケターとしての総合評価

3ヶ月使ってみた総合評価を、マーケター視点で言語化すると以下になる。

Google Stitch が解決してくれたこと

  • デザイナーへの依頼時の「言葉だけでは伝わらない」問題
  • ABテストのバリエーション議論の抽象性
  • 提案資料のUIビジュアルを「それらしいもの」で済ませていた妥協
  • 「ちょっとしたUIイメージが欲しいだけ」という需要

Google Stitch が解決してくれなかったこと

  • ブランドガイドラインへの厳密な準拠
  • 実際のCVR改善(これは仮説検証が必要なため当然)
  • デザイナーとのコミュニケーションそのものの代替
  • 実装に直接使えるHTML/CSS(マーケターには関係薄い)

「デザイナーを不要にする」ツールではない。「デザイナーと仕事をする上での自分の解像度を上げる」ツールとして使うのが正解だと感じている。

よくある質問(FAQ)

Q1. マーケターがGoogle Stitch を使うのに、デザインの知識は必要ですか?

基本的な操作には必要ありません。プロンプトを入力して生成ボタンを押すだけなので、デザインの専門知識がなくてもUIを生成できます。ただし、生成されたUIの「良し悪しを判断する」場面では、「なぜこのUIが使いにくいか」を言語化する力があると、修正指示が出しやすくなります。これはGoogle Stitch を使いながら自然に身につく力です。

Q2. 広告クリエイティブのLP設計にGoogle Stitch は使えますか?

LP全体の「方向性とレイアウト」を探る用途には十分使えます。「この広告のターゲットに合ったLP」というプロンプトで方向性を複数出して比較する使い方が効果的です。ただし、実際のLP本番環境に使うHTMLは別途実装が必要です。Google Stitch はLP設計の「上流工程」での活用が向いています。

Q3. SEO対策を意識したLP設計にも使えますか?

UIの構造(見出しの配置・コンテンツのレイアウト)という観点では参考になりますが、実際のSEO対策(meta tags・構造化データ・ページ速度)はGoogle Stitch の範囲外です。「ユーザーが読みやすいUI構造」をGoogle Stitch で設計し、SEO技術要件は別途対応するという分担が現実的です。

Q4. 競合分析の資料作成にどう活用できますか?

競合サービスのUIの特徴を言語化した上で「このUIパターンを参考にしたデザイン」を生成し、自社との比較に使うことができます。ただし「競合サービスと全く同じUI」を生成することは著作権・デザイン模倣の観点から避けるべきです。「競合の構造的な特徴」を参考にした上で、独自の表現を作ることが重要です。

Q5. チームのデザイナーにGoogle Stitch の活用を提案しやすいですか?

デザイナーによって受け取り方が異なります。「自分の領域を侵害される」と感じる方もいれば、「プロトタイピングが速くなるから歓迎」という方もいます。提案するなら「私がイメージを作って渡すので、仕上げをお願いする」という分業の文脈で話す方が受け入れられやすいと思います。

Q6. Google Stitch を使い始めてから、デザイナーへの依頼頻度は変わりましたか?

依頼頻度は変わりませんでしたが、依頼の内容が変わりました。「こういう感じにしてほしい」という曖昧な依頼が減り、「このビジュアルをベースに、ブランドガイドラインに合わせて仕上げてほしい」という具体的な依頼に変わりました。結果としてデザイナーの作業効率が上がり、修正往復が減りました。

Q7. マーケターがGoogle Stitch を使う場合、月にどのくらいの使用頻度になりますか?

私の場合、週に2〜3回程度使っています。LP改善提案のとき、新規プロジェクトの提案資料を作るとき、ABテストの案を議論するとき、といった「デザインのビジュアルが欲しいとき」に使います。デザイナーのように毎日使うというより、必要な場面でツールとして取り出す、という使い方です。

Q8. Google Stitch の学習コストはマーケターにとって重いですか?

軽いです。「プロンプトを入力して生成する」という基本操作は1〜2時間で慣れます。「思ったものが出てくるようになる」には2〜3週間の試行錯誤が必要ですが、その過程は特別な学習時間を設けるというより、実際の業務の中で「試しに使ってみる」感覚でいけます。Figmaを0から習得するより、はるかに早く「使える」レベルに到達できます。

「自分で全部作る」より「自分の考えを形にする」

Google Stitch を3ヶ月使って一番変わったのは、「デザインについての自分の解像度」だった。

以前はデザイナーに「なんとなくこういう感じで」と伝えるしかなかった。「なんとなく」を言語化できなかったから。Google Stitch を使うことで、「なんとなく」を一度ビジュアルに変換し、そのビジュアルを見て「ここは違う・ここは正解」と判断できるようになった。

「自分でデザインを全部作れるようになる」ツールではない。でも「自分の頭の中にある考えを形にして、共有できるようになる」ツールとしては、マーケターにとって十分な価値があると思っている。

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