マーケターが「UIを作る」という仕事は、本来自分の領域ではないと思っていた。
施策を考え、コピーを書き、数字を見る——これがマーケターの仕事だ。画面を作ることはデザイナーの仕事で、自分が手を出すべきではないという感覚があった。
Google Stitch を使い始めてから、その境界線の引き方が変わった。この記事は、マーケターとして Google Stitch をどう活用しているか、具体的に書くものだ。
LPのたたき台を自分で作れるようになった
マーケターにとって最も身近なUIはランディングページ(LP)だ。コピーを考えるのは自分でも、「どんな見た目にするか」はデザイナーに依頼していた。
この依頼プロセスに、毎回時間がかかっていた。要件を伝えて、ラフが上がってきて、修正して、また上がってくる——このサイクルを何度も回していた。
Google Stitch を使い始めてから、まず「たたき台」を自分で作るようにした。「このコピーをベースに、こういう構成のLPを作って」とプロンプトで指定すると、数分でビジュアルのラフが出てくる。それをデザイナーに渡すと、議論の出発点が「言葉」から「画面」に変わり、修正サイクルが大幅に短縮された。
A/Bテストの仮説を「画面で」作れるようになった
マーケターとしてA/Bテストを設計するとき、以前は「ボタンのコピーを変える」「見出しの文言を変える」という言語的な変更が中心だった。デザイン的な変更——CTAの配置・ビジュアルの構成・フォームの長さ——は「デザイナーの工数が必要」という理由で後回しになりがちだった。
Google Stitch を使えば、「CTAを上に置くパターン」と「CTAを下に置くパターン」を両方生成して比較できる。デザイナーの工数を使う前に「どちらのパターンが直感的に良さそうか」を関係者で議論できる。テストの仮説精度が上がり、工数を使うべき案件が絞り込めるようになった。
「コピーと見た目の整合性」を自分で確認できる
マーケターが書くコピーと、デザイナーが作るビジュアルの間には、意図のズレが生じることがある。「力強さを伝えたいコピー」と「やわらかいデザイン」が組み合わさると、ブランドメッセージとして矛盾する。
Google Stitch でコピーを入れたUIを生成すると、「このコピーとこのビジュアルは合っているか」を自分で確認できる。「言葉だけで考えていたときには気づかなかったズレ」を、実際の画面で確認することで早期に発見できるようになった。
社内プレゼンの説得力が上がった
新しい施策をプレゼンするとき、「こういうLPを作りたい」という提案を言葉だけで説明するのは難しかった。聞く人によって想像するビジュアルが違うため、議論が「イメージの共有」で時間を取られることが多かった。
Google Stitch でビジュアルのたたき台を作ってスライドに入れると、「具体的にどういう画面か」が一目で伝わる。施策の判断が早まり、「やってみましょう」「それよりこっちを先にやりましょう」という意思決定が明確になった。
デザイナーとの協働の質が変わった
変化として最も実感しているのは、デザイナーとの仕事の進め方だ。以前は「お願いします」と依頼して結果を待つ関係性だったが、今は「こういうたたき台を作ってみたんですが、ここをプロの視点で改善してほしい」という会話ができるようになった。
マーケターとして「UIの意図」を持てるようになったことで、デザイナーとの議論が深くなった。デザイナーも「なぜそうしたいのか」が伝わる依頼の方が、よい仕事ができると言ってくれた。
よくある質問
Q1. マーケターが Google Stitch でUIを作ることをデザイナーは歓迎しますか?
デザイナーによります。「領域侵犯」と感じる人もいれば、「たたき台を用意してくれる方が仕事がしやすい」と感じる人もいます。「最終的なデザインはデザイナーが担う」という役割の明確化と、「意図を共有するためのツールとして使っている」という説明を添えると、受け入れられやすいです。
Q2. LP以外で、マーケターが活用できるシーンはありますか?
メールマーケティングのHTMLメールテンプレート、キャンペーンページのビジュアル案、SNS広告のバナー構成案なども Google Stitch で探索できます。また、ユーザーインタビューの前にプロトタイプを見せたい場合の「ビジュアル素材」としても有効です。
Q3. デザインの知識がなくても使えますか?
使えます。ただし、「良し悪しを判断する基準」として、最低限のUIデザインの原則(視覚的階層、余白の使い方、CTA設計)を知っておくと生成物の評価精度が上がります。書籍一冊分程度の知識があるだけで、プロンプトの質が大きく変わります。
Q4. A/Bテストの仮説を Google Stitch で作る具体的なフローを教えてください
まず「現在のデザイン」に近いUIをプロンプトで生成し、次に「変えたい要素を変えたバリエーション」を生成します。二つを並べて関係者でレビューし、「どちらが仮説に合っているか」を議論します。合意が取れたら正式なデザイン・実装依頼に進む、という流れが効率的です。
Q5. Google Stitch の使用にマーケター向けの学習リソースはありますか?
マーケター向けに特化したリソースは少ないですが、LPデザインの基本原則やコンバージョン最適化(CRO)の知識と組み合わせることで、より効果的なプロンプトが書けるようになります。「なぜそのレイアウトがコンバージョンに効くか」を理解してから生成すると、アウトプットの質が上がります。
Q6. 生成したLPのたたき台はそのまま公開できますか?
公開品質に仕上げるには、デザイナーによるブランドガイドラインへの準拠確認・レスポンシブ対応・アクセシビリティチェックが必要です。Google Stitch で作ったものは「社内共有・方向性確認」のたたき台として使い、公開前に必ずデザイナーの確認を通すことを推奨します。
まとめ
マーケターとして Google Stitch を使い始めて変わったこと。
- LPのたたき台を自分で作れるようになり、デザイン依頼のサイクルが短縮
- A/Bテストの仮説を「画面で」検討できるようになった
- コピーとビジュアルの整合性を自分で確認できる
- 社内プレゼンで「画面として見せる」ことで意思決定が速まった
- デザイナーとの協働が「依頼→待つ」から「一緒に考える」に変わった
「UIは自分の仕事ではない」という思い込みが外れたことが、最も大きな変化だった。