Google Stitch のプロンプト、日本語と英語どちらで書くといいか試してみた

Google Stitch を使い始めてしばらくすると、ある疑問が頭に浮かんだ。

「プロンプトは日本語と英語、どちらで書いた方がいいのか。」

Googleのツールだから英語の方が精度が高いのか。それとも最近のAIは日本語でも十分通じるのか。ネットで調べても「どちらでも大丈夫」という曖昧な回答が多く、自分で試してみるしかないと思った。

そこで、同じ要件のUIを日本語プロンプトと英語プロンプトの両方で生成し、結果を比較する実験を行った。この記事はその記録だ。

一言で言えば、日本語プロンプトと英語プロンプトの精度差は「ほぼない」が、英語プロンプトの方が「デザインのバリエーションが広がりやすい」という傾向があった。日常的な使用では日本語で十分だが、デザインの幅を広げたいときは英語を試す価値がある。

実験の設計

この比較実験を「できるだけ公平に」行うために、条件をそろえた。

比較したUIのパターン

同じUIデザイン要件を、日本語と英語で表現したプロンプトで生成し、以下の観点で比べた。

  • レイアウトの完成度(要件通りに要素が配置されているか)
  • デザインの質感(見た目のプロっぽさ、バランス感)
  • テキストの適切さ(ダミーテキストが意図に近い内容か)
  • 細部の整合性(余白・フォント・カラーの一貫性)

試したUIパターンは3種類。シンプルなログイン画面、カード型のダッシュボード、ECサイトの商品一覧ページだ。

日本語プロンプトの例

「管理画面のダッシュボード。左側にサイドナビゲーション、右側に4つのKPIカード(ユーザー数・売上・注文数・離脱率)、その下に折れ線グラフ。モダンでクリーンなデザイン。ライトモード。」

英語プロンプトの例

“Admin dashboard with left sidebar navigation, 4 KPI cards on the right (Users, Revenue, Orders, Bounce Rate), line chart below. Modern clean design. Light mode.”

ログイン画面の比較結果

最初に試したのはシンプルなログイン画面だ。これは要件が単純なため、日英の差が出やすい(あるいは出にくい)条件だと考えた。

日本語プロンプトの結果

日本語プロンプト「シンプルなログイン画面。メールアドレスとパスワードの入力欄、ログインボタン、パスワードを忘れた方へのリンク。ホワイトを基調にしたミニマルデザイン。」で生成すると、意図通りのレイアウトが出てきた。

入力欄の配置、ボタンのデザイン、テキストの量——どれも「日本語の感覚」に近いデザインが出力された。フォントも読みやすく、全体的に「使いやすそう」という印象だった。

英語プロンプトの結果

英語プロンプト “Simple login screen. Email and password fields, login button, forgot password link. Minimal white design.” で生成すると、日本語プロンプトとほぼ同等の品質のUIが出てきた。

ただ、若干の違いがあった。英語プロンプトの方が「海外のSaaSサービスっぽい雰囲気」が出やすかった。フォントの選択、ボタンの角丸の程度、テキストの量——どれも、どこかで見たことのある海外製サービスのUIに近い印象だった。

これが良いか悪いかは使い方次第だ。日本向けのサービスなら日本語プロンプトの方が自然な仕上がりになりやすく、グローバルなサービスや海外感を出したい場合は英語の方が雰囲気が出やすい。

ダッシュボードUIの比較結果

次に試したのは管理画面のダッシュボードだ。ログイン画面より複雑な要件を持つため、プロンプトの表現力が問われる条件だった。

日本語プロンプトの結果

日本語プロンプトでも、要件通りのレイアウト(左サイドナビ+KPIカード+グラフ)は正確に出力された。KPIカードの数や配置、グラフのエリア——指定した内容が反映されていた。

気になった点は、日本語での「モダンでクリーン」という表現が、やや保守的なデザインとして解釈される傾向があったことだ。色のコントラストが控えめで、「無難だが印象に残りにくい」という印象を受けた。

英語プロンプトの結果

英語プロンプトでは、同じ「モダンでクリーン(Modern clean)」という表現に対して、より鮮明なアクセントカラーが使われる傾向があった。データの視認性が高く、ダッシュボードとして「機能美」を感じるデザインが出やすかった。

実際に私がこの比較をして感じたのは、「英語の方がデザインのパレットが広い」という感覚だった。日本語プロンプトは「外れにくいが当たりも少ない」、英語プロンプトは「ハズレもあるが大当たりが出やすい」というイメージに近い。

ECサイト商品一覧ページの比較結果

3番目は、ECサイトの商品一覧ページだ。カード型のグリッドレイアウト、商品画像のプレースホルダー、価格表示、カートボタンを含む複合的なUIだ。

日本語プロンプトの方が「日本的な感覚」に近かった

ECサイトに関しては、日本語プロンプトの方が「日本のECサイトらしさ」が出やすかった。情報量の多い商品カード、価格の見せ方、ボタンのテキスト(「カートに入れる」のような表現)——日本人が使い慣れたECサイトの雰囲気に近いものが生成された。

英語プロンプトで生成したものは、よりシンプルで「海外ECサイト(Amazon・Shopifyテーマっぽい)」の雰囲気だった。これも品質は高いが、日本向けのECサイトとしてそのまま使うには若干の違和感があった。

日英プロンプトをどう使い分けるか

3つのパターンを比較した結果、用途別の使い分け基準が見えてきた。

日本語プロンプトが向いている場面

  • 日本のユーザー向けサービスやプロダクトのUI
  • 日本語の文脈が強いコンテンツ(日本語テキストが多く入るUI)
  • 「無難に外れないデザイン」が必要な場面(クライアントへの初期提案など)
  • プロンプトを素早く書きたい場面(英語に翻訳する手間が省ける)

英語プロンプトが向いている場面

  • グローバル向けサービスや、洗練された海外感を出したいUI
  • デザインのバリエーションを広く探索したいとき
  • SaaS・管理画面・ダッシュボードなど、「機能美」が求められるUI
  • デザイントレンドを意識した先進的な見た目が欲しい場面

私が実際に試して行き着いた方法は、「最初は日本語で大枠を決め、気に入るものが出なかったら英語に変えて再挑戦する」というものだ。日本語の方が書くのが速いので、まず日本語で出してみて、それで満足できなければ英語に切り替える。この二段構えが一番効率的だった。

混在プロンプトという方法

実験を続けるうちに、「日本語と英語を混ぜて書く」という方法も試してみた。

たとえば「管理画面のダッシュボード。Left sidebar navigation, 4 KPI cards, line chart. モダンでクリーンなデザイン。」という形だ。

結果は予想以上に良かった。構造・レイアウトに関する指定を英語で書き、雰囲気・トーンに関する指定を日本語で書くと、それぞれの強みが組み合わさる感覚があった。構造は明確に伝わり、雰囲気は日本語の文脈に合った出力になりやすかった。

「日本語か英語か」という二択ではなく、「場合によって混ぜる」という選択肢があることを知っておくと、プロンプトの自由度が上がる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 英語が苦手でも英語プロンプトを使えますか?

はい、使えます。Google Stitch のプロンプトで使う英語は、UIの要素名(”header”, “sidebar”, “card”, “button”など)と形容詞(”minimal”, “modern”, “clean”など)の組み合わせが中心です。複雑な文法は必要なく、「名詞の列挙+形容詞」程度の英語で十分通じます。Google翻訳やChatGPTで日本語プロンプトを英語に変換してから使うという方法も効果的です。

Q2. プロンプトの長さは日英で変わりますか?

英語は日本語より一般的に語数が少なくなる傾向があります(日本語20文字の内容を英語で書くと10語程度になることが多い)。そのため、英語プロンプトの方がコンパクトに書けますが、意味の密度は同等です。長さよりも「具体的に書いているか」の方が出力品質への影響が大きいです。

Q3. 日本語名詞(「ヘッダー」「ボタン」など)は英語として認識されますか?

はい、「ヘッダー」「ナビゲーション」「ダッシュボード」のようなカタカナ英語は、Google Stitch で問題なく認識されます。「サイドバー」「カード」「モーダル」なども同様です。日本語プロンプトでもUI用語はカタカナで書いて問題ありません。

Q4. 絵文字やアイコンをプロンプトで指定できますか?

アイコンについては「ハンバーガーメニューアイコン付き」「検索アイコン」のような指定ができます。絵文字をそのまま含めることも試しましたが、必ずしも意図通りに反映されるわけではありませんでした。アイコンの指定は「どこにどんな機能のアイコンがあるか」を言葉で説明する方が確実です。

Q5. ブランドカラーを日本語で指定するより英語で指定した方が精度が高いですか?

カラーに関しては、言語より「HEXコードで指定する」方がはるかに精度が上がります。「ネイビー」「Navy blue」という言語による指定より、「#1E3A5F」のようにHEXコードで指定する方が意図通りの色が出やすいです。言語による色の指定は「だいたいの方向性」を示すものとして使い、精度が必要な場合はHEXコードを使いましょう。

Q6. 同じ英語プロンプトを繰り返し使ったとき、同じデザインが出てきますか?

いいえ、同じプロンプトを使っても毎回少し異なるデザインが出てきます。これはAIの生成の特性によるものです。「同じデザインを再現したい」場合は、気に入ったデザインを生成した後すぐにエクスポートして保存しておくことをおすすめします。

Q7. 専門的なUIパターン名(”bento grid”, “glassmorphism”など)は通じますか?

はい、デザイントレンドの用語は特に英語での指定が効果的です。「Bento grid layout」「glassmorphism effect」「neumorphism style」のような指定は、日本語より英語の方が意図通りに反映されやすい傾向があります。デザイントレンドを取り入れたい場合は英語プロンプトが有利です。

Q8. プロンプトに文法的なミスがあっても大丈夫ですか?

はい、多少の文法ミスがあっても問題なく動作します。AI はある程度の不自然な英語を補完して解釈してくれます。「完璧な英文を書かなければいけない」というプレッシャーは不要です。意味が通じる程度の英語で十分です。

まとめ——「日本語か英語か」より「具体的かどうか」

この実験を通じて一番大きな学びは、「日本語か英語かよりも、プロンプトが具体的かどうかの方が重要だ」ということだった。

曖昧な日本語プロンプトより、具体的な英語プロンプトの方が良い結果になる。逆に、具体的な日本語プロンプトは、曖昧な英語プロンプトより良い結果になる。言語の問題より「どれだけ詳しく書いたか」の問題の方が、出力品質への影響が大きかった。

まとめると、日本語で始めて、気に入らなければ英語に変えるか混在させる——これが今の自分なりの使い方だ。「英語でないと使えない」という先入観は捨てていい。日本語で始めることの遠慮はなくして大丈夫だ。

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