Google Stitch を使い始めてからFigmaを開く回数が減った、という話

stitch11

気づいたら、Figmaを開く回数が減っていた。

毎日のように起動していたあのツールを、最近は週に1〜2回しか開いていない。べつに使うのをやめたわけじゃない。ただ、以前は「とりあえずFigmaを開く」というのが自分の中の当たり前だったのが、いつの間にかそうじゃなくなっていた。

その理由を考えていたら、Google Stitch を使い始めた時期と重なっていることに気づいた。

これはFigmaが悪いという話でも、Google Stitch の方が優れているという話でもない。どちらかというと、2つのツールの「役割の違い」がはっきり見えてきた、という話だ。それが分かってから、自分のデザイン周りの作業が変わった。

この記事では、私がFigmaをよく使っていた頃から、Google Stitch を取り入れてワークフローが変わるまでの経緯を、できるだけ正直に書いてみる。

一言で言えば、Google Stitch は「UIの最初の形を素早く作る」のが得意で、Figmaは「細部を詰める・チームで共有する・品質を担保する」のが得意だ。この2つの役割の違いが分かったとき、ツールを開くタイミングが自然と変わっていった。

Figmaを毎日開いていた頃の話

少し前まで、私はほぼ毎日Figmaを起動していた。UIの草案を描くのも、ボタン一つのデザインを確認するのも、クライアントへの提案資料を作るのも、全部Figmaだった。

Figmaは間違いなく優れたツールだ。共同編集機能があるからチームでリアルタイムに作業できるし、コンポーネントシステムを使えばデザインの一貫性を保てる。プロトタイプ機能を使えば、インタラクションの確認もできる。デザイナーがいるチームなら、今でも中心になるツールだと思う。

ただ、私にとって少し重たかったのは「最初の一歩」だった。

真っ白なキャンバスを前にして、「さあ、どこから始めようか」と考える時間。フレームを作って、色を決めて、フォントを選んで、ようやく最初のボタンを置く、あの立ち上がりの遅さ。非デザイナーの自分にはそれが地味にしんどかった。

「デザインをやっている」というより「デザインの準備をしている」時間の方が長い感覚があった。

「こんな感じのUI」を伝えるのが難しかった

もう一つ困っていたのが、自分の頭の中にある「なんとなくこういう感じ」を形にするまでの時間だ。

Figmaは「自分で全部作る」ツールだから、イメージを形にするには操作の知識と時間が必要になる。「このページにカード型のリストを並べて、各カードに画像とテキストと小さいボタンを置いて……」というのを全部手で作っていると、30分くらい平気でかかる。

その間に、最初のアイデアの熱量が少し冷めていく感覚があった。

Google Stitch を試してみたときの感覚

Google Stitch(グーグル・スティッチ)とは、テキストのプロンプトを入力するだけでUIデザインを自動生成できるGoogleのAIデザインツールだ。2024年にGoogle I/Oで発表され、2025年以降に一般向けの利用が広がってきた。

最初に試したのは「ログイン画面のUIを作ってみる」という、ごく単純な実験だった。プロンプトに「シンプルなログイン画面。メールアドレスとパスワードの入力欄、ログインボタン、パスワードを忘れた場合のリンク付き」と入力して、生成ボタンを押した。

数秒後に出てきたUIを見て、正直驚いた。

「悪くない」というレベルじゃなかった。ちゃんと使えそうなUIだった。フォントのバランスも、余白の取り方も、ボタンのデザインも、「あ、これ普通にいいじゃないか」と思える品質だった。

Figmaで同じものを作ろうとしたら30分かかるところが、5秒で出てきた。

最初のアイデアが「早い段階で」形になる感覚

Google Stitch を使い始めて一番変わったのは、「アイデアが形になるスピード」だった。

頭の中の「こういう感じ」を言葉にして入力すると、即座にビジュアルが返ってくる。気に入らなければプロンプトを少し変えてもう一度生成する。それを繰り返すうちに、「だいたいこういう方向性」のUIが数分で出来上がる。

この「だいたい形になった状態」からスタートできることが、思っていたより大きな違いだった。

Figmaを開いて白紙から始めるときの「最初の一歩の重さ」がなくなった。「ひとまず形を作る」という作業は Google Stitch に任せて、自分は「この形でいいか判断する」ことに集中できるようになった。

実際に私が使い始めた最初の1週間で感じたのは、「考えるより先に見る」という感覚への転換だった。以前は頭の中でデザインをある程度組み立ててからFigmaを開いていたが、今は「とりあえず生成してみる→見てから考える」という順番になっている。

プロンプトを変えながら比較できる良さ

もう一つ気づいた良さは、「A案とB案を素早く比べられる」ことだった。

「カードレイアウト」と「リストレイアウト」のどちらがいいか迷っているとき、Figmaなら両方作るのに1時間かかる。Google Stitch なら両方を5分で生成して、並べて比較できる。

この「比較の速さ」は、意思決定のスピードに直結した。「どっちにしようか」と悩む時間が減り、「この方向でいこう」と決めるまでの時間が短くなった。

どんな作業をGoogle Stitch に任せるようになったか

Google Stitch を3ヶ月使い続けた今、自分の中で「これはGoogle Stitch」「これはFigma」という分担が自然にできあがってきた。

Google Stitch に任せるようになった作業は、主に次の3つだ。

新しいページやコンポーネントの「最初の形」を作るとき

新しいページのUIを考えなければいけないとき、以前はFigmaを開いて白紙から始めていた。今はまずGoogle Stitch でいくつかの方向性を生成して、「この感じがいい」というものを選んでから先に進む。

たとえば「会員登録フォームを新しく作る」という場面。プロンプトで「2ステップの会員登録フォーム。メールアドレス・パスワード設定・利用規約同意のチェックボックス付き」と入力すると、複数のレイアウト案が出てくる。その中から「この骨格でいこう」と決めてからFigmaに移行する、という流れになった。

この方法だと、Figmaで作業を始める前にすでに「どういうUIにするか」の大枠が決まっている。だから白紙から始めるより作業が速いし、途中で「やっぱりこのレイアウトじゃない気がする」となることも減った。

クライアント・チームへのイメージ共有

「こういう感じのUIをイメージしています」をクライアントや社内メンバーに伝えるための「ラフ案」を作るのに、Google Stitch は非常に便利だ。

以前は、ちゃんとしたFigmaのモックアップを作ってから共有していた。そのせいで「まだ完成じゃないから共有できない」という状態が続き、フィードバックをもらうのが遅れることがあった。

Google Stitch で生成したものをスクリーンショットで共有するようにしてから、「ざっくりこんな方向性」の確認が早い段階でできるようになった。細かい品質の前に「方向性は合っているか」を確認できると、大きなやり直しが減る。

複数の候補を比べて「方向性を決める」とき

「カラースキームをどうするか」「ナビゲーションはサイドバーにするかトップバーにするか」「カードのデザインをフラットにするかシャドウありにするか」——こういった選択肢を比べるとき、以前はどれかを作ってみてから判断していた。

今はGoogle Stitch で複数のパターンを短時間で生成して比べることができる。「見てから判断する」という方法に切り替わったことで、選択の質と速度が上がった気がしている。

Figmaが今でも必要な場面

とはいえ、Figmaを完全に置き換えられるかというと、そうはなっていない。むしろ「Figmaでないとできないこと」がはっきりしてきた、というのが正直なところだ。

細部の精度を高めるとき

Google Stitch で生成したUIは、「雰囲気はいいけど細部が惜しい」ということがある。

余白が1〜2px ずれている、フォントの行間が少し詰まっている、ボタンのテキストが微妙に中央から外れている——そういった「細かいけど気になる」部分を精密に整えるのは、今のところFigmaの方が得意だ。

Google Stitch はUIの「骨格とトーン」を作るのに優れているが、「1pxの精度」を追求する作業はまだFigmaに分がある。

チームで共同編集するとき

Figmaの最大の強みの一つは共同編集機能だ。複数人が同時に同じファイルを開いて作業できる。コメント機能でフィードバックをやり取りできる。デザイナーとエンジニアが同じファイルを参照してインスペクトできる。

Google Stitch はまだ基本的に「一人で使うツール」としての性格が強い。チームで進めるプロジェクトでは、成果物をFigmaに移行してから共有する運用になっている。

デザインシステム・コンポーネントを管理するとき

会社やプロダクトのデザインシステムを管理する上では、Figmaのコンポーネント機能は欠かせない。「ボタンのスタイルを全ページ一括で変更する」「カラートークンを変更したら全コンポーネントに反映される」という仕組みは、Google Stitch ではまだ代替できない。

デザインの「設計図・ルールブック」を作る役割は、引き続きFigmaが担っている。

2つのツールが共存するようになって変わったこと

Google Stitch とFigmaを使い分けるワークフローが定着してから、いくつかの変化があった。

一番大きな変化は「着手の速さ」だ。以前は「デザインしなければいけない」というタスクが積まれると、少し気が重くなることがあった。白紙から作り始める心理的なハードルがあったからだと思う。今は「とりあえずGoogle Stitch で形を出してみる」というワンアクションで始められるので、着手のハードルが下がった。

もう一つは「Figmaを開くときの集中度が上がった」という変化だ。

以前は「とりあえずFigmaを開いて、考えながら作る」という状態だったが、今はGoogle Stitch で方向性を決めてからFigmaを開くので、「何を作るか」がすでに決まっている。目的が明確な状態でFigmaを開くので、作業が前より速く、迷いが少なくなった。

Figmaを「何でもするツール」から「精度を上げるツール」として使うようになってから、Figmaを開く回数は減ったが、Figmaで作業する時間の「密度」は上がった気がしている。

今の自分なりのワークフロー

今の流れをまとめると、こんな感じになっている。

  • 新しいUIが必要になる → Google Stitch でいくつかのパターンを生成する
  • 生成したUIを見て「この方向性でいこう」と決める
  • 必要であれば、ラフ案の段階でクライアントやチームに共有して確認する
  • 方向性が固まったらFigmaに移行し、細部を精密に整える
  • エンジニアへのデザイン引き渡しはFigmaから行う

Google Stitch がなかった頃に比べると、最初の「方向性決め」にかかる時間が大幅に短くなった。体感では、UIデザインの全作業時間のうち「考える・比べる・決める」フェーズが3分の1くらいになった感覚がある。

よくある質問(FAQ)

Q1. Google Stitch とFigma、どちらか一方だけ使うのではだめですか?

用途次第ではどちらか一方でも十分な場面はあります。ただ、Google Stitch はUIの「最初の形を素早く出す」のが得意で、Figmaは「細部を整える・チームで共有する・コンポーネントを管理する」のが得意という、役割の違いがあります。両方を組み合わせることで、それぞれの弱点を補い合えるため、デザイン作業全体の効率が上がる傾向があります。一人でシンプルなプロジェクトを進めるだけなら Google Stitch だけでも完結できる場面も増えていますが、チームやクライアントワークではFigmaの出番はまだ多いです。

Q2. Google Stitch で生成したデザインをFigmaに取り込むことはできますか?

はい、エクスポート機能を使ってFigmaにインポートすることができます。エクスポートしたファイルをFigma上で編集すれば、Google Stitch で作った骨格をFigmaで仕上げるという流れが実現できます。ただし、インポート後にレイヤー構造が自動生成の名前になっている場合があるため、整理が必要なことがあります。

Q3. Google Stitch はデザイナーでない人でも使えますか?

はい、むしろデザイナーでない人にこそ使いやすいツールです。操作はほぼプロンプト(テキスト入力)だけで完結するため、Figmaのような複雑な操作を覚える必要がありません。「こういう感じのUIが欲しい」を言葉にして入力するだけで、それなりの品質のデザインが出てきます。非デザイナーが社内ツールやプロトタイプを作る際に特に力を発揮します。

Q4. Figmaをまだ使ったことがない場合、Google Stitch から始めても大丈夫ですか?

まったく問題ありません。Figmaの経験がなくても Google Stitch は使えます。プロンプトを入力してUIを生成する、という操作は直感的で学習コストが低いです。逆に言えば、Google Stitch から始めてデザインの感覚を掴んでから、必要に応じてFigmaを学ぶという順番でも十分通用します。

Q5. Google Stitch で生成したUIはそのまま本番環境に使えますか?

プロトタイプや社内ツールであれば、エクスポートしたコードをそのまま本番利用できる品質のものが出てくることもあります。ただし、複雑なバックエンド連携が必要な場合や、既存のデザインシステムへの統合が必要な場合は、エンジニアによる手直しが必要です。「完成品」として使うというより「開発の出発点として使う」と考えると、期待値と実態がちょうど合います。

Q6. Google Stitch のプロンプトはどう書けばいいですか?

基本は「どんなUIか」「どんな要素が含まれるか」「どんな雰囲気にしたいか」の3点を自然な日本語または英語で書くことです。例えば「シンプルなダッシュボード画面。左にサイドナビ、右に4つのKPIカード、グラフエリア。ダークテーマ」のように具体的に書くと、意図に近いものが出やすくなります。最初から完璧を目指さず、「だいたいこういう感じ」を出してから調整する気持ちで使うと、作業がスムーズに進みます。

Q7. Figmaの有料プランを使っている場合、Google Stitch に乗り換えたら費用を削減できますか?

単純に「乗り換え」はおすすめしません。前述の通り、それぞれに得意な場面が異なるからです。ただし、Google Stitch を使うことで「Figmaを使う作業の量」が減る可能性はあります。小規模チームや個人開発者の場合、Figmaの使用頻度が下がれば、無料プランへのダウングレードを検討する余地が出てくるかもしれません。現在の使い方とFigmaのプラン内容を照らし合わせながら判断してください。

Q8. Google Stitch はどこで使えますか?

Google Stitch はWebブラウザからアクセスして使います。インストール不要で、Googleアカウントがあれば利用できます。Google Labsの一環として提供されており、【要確認:2026年4月時点での正確なアクセス先URLは公式情報をご確認ください】。PCのブラウザ(特にGoogle Chrome)での利用が最も安定しています。

Figmaを「開かなくなった」のではなく、「開き方が変わった」

この記事を書きながら改めて気づいたのは、「Figmaを開く回数が減った」というのは、Figmaへの評価が下がったということじゃないということだ。

むしろ逆で、Figmaを使う場面が「精度が必要な場面」に絞られたことで、Figmaに対する信頼は上がっている気さえする。「Figmaを開くとき」に「何を作るかが決まっている」状態になったから、Figmaでの作業が以前より充実している。

Google Stitch が担ってくれるようになったのは「最初の雑さ」の部分だ。「とりあえず形にしてみる」「方向性を素早く試す」「言葉だけで説明するより画面を見せる」——その役割をGoogle Stitch が引き受けてくれたことで、Figmaは「ちゃんと作るフェーズ」だけに集中できるようになった。

ツールが増えることで、それぞれのツールが「本来の強み」を発揮できるようになる、というのは意外と多い話だと思う。Google Stitch とFigmaのこの関係は、私にとってそのちょうどいい例になっている。

まだどちらも使ったことがないという方は、まずGoogle Stitch で何か一つ生成してみることをおすすめする。「最初の形を作る」という一番面倒な部分が、思っていたよりずっと簡単に解決する体験が、ここから始まる。

最新記事
  • カテゴリー
  • 月別
  • Twitter

    ココナラでデザインを依頼する

    7000本の授業が見放題!社会人向けオンライン学習動画【Schoo(スクー)】

    Webデザイン業界特化のレバテック

    定額制で質問し放題【Web食いオンラインスクール】

    関連記事

    最新記事NEW

    CONTACTCONTACT CONTACTCONTACT

    お問い合わせ

    ご意見やお仕事のご依頼などは以下よりご連絡ください。

    情報入力

    内容確認

    完了

      お名前必須

      フリガナ必須

      メールアドレス必須

      お問い合わせ内容